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Vol.12 --- アルページュのリンゴタルト

 パリに10軒ある、レストランガイド「ミシュラン」の3つ星レストラン。
 そのうちの1軒「ラルページュ」のオーナーシェフ、アラン・パサールは、リンゴを主役にした素晴らしいデザートを、2007年に創作した。”タルト・ブーケ・ド・ローズ“だ。

「ラルページュ」のオーナーシェフ、アラン・パサール
L’Arpège
84 rue de Varenne 75007 Paris
+33 1 47 05 09 06
http://www.alain-passard.com/

 直訳すると、”バラの花束のタルト“。バラの花のように見えるのが、リンゴ。リンゴを皮付きのままリボンのように薄く長くカットし、くるくる巻いて横から見ると、なるほどバラの形に見える。これを、折り込み生地の上に並べて焼く。サクサク生地と、しっとり香り高く焼きあがったリンゴ。粉砂糖を振り、ドラジェ(丸ごとのアーモンドにお砂糖の固い皮膜を施した砂糖菓子)やキャラメルをあしらって完成だ。
 リンゴのタルトはあまたあれど、これほどまでに美しさと独創性を兼ね備えたものはない。
 さすがは3つ星シェフの作品だ。

タルト・ブーケ・ド・ローズ

 アラン・パサールは、野菜料理の巨匠として名高く、ブルターニュ地方やノルマンディ地方に自家菜園を持っている。馬が土を耕し、エコシステムが完成した、素晴らしい有機農法で、リンゴをはじめ、500~600種もの野菜や果物、ハーブを育てている。
 野菜とあわせてサラダにしたり、このタルトのようにデザートに利用。3つ星シェフの発想を受けて、リンゴは、思いがけない形や美味しさに、その姿を昇華させている。

ブルターニュ地方やノルマンディ地方の自家菜園

(2013/11/18)

加納 雪乃
Yukino Kano

神奈川県出身 パリ在住。
専門はフランスの食文化、バレエ。
サラリーマン時代に、95~97年、パリ事務所の駐在員として初めてフランスに滞在。 フランスの食文化の魅力に感動し、その魅力を広く伝えたいと思うようになり、帰国後しばらくしてから退社。 改めて自分で渡仏し、2000年からライターとして活躍している。
著書:「パリオペラ座バレエと街歩き」「パリ スウィーツの話」(ともに集英社 be文庫にて発売中)

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