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第43号 スウェーデンの女の子達に大人気 “マルカリド乗馬クラブ”

春から夏へとスポーツの季節、日本では子供達が野外で野球やサッカー、また大人も負けずに朝野球やランニングをしている姿があちらこちらで見られているのでないかと思われます。スウェーデンの子供達のスポーツは、男の子はサッカー、女の子は乗馬と言えるでしょう。我が家でも子供達が小さい頃、中学生位までは息子はサッカーに、娘達は乗馬に凝っていました。当時は親同士で交代に子供達をそれぞれのグランド、競技場へと休日に送り迎えもしていました。今回は少女達に人気のある乗馬、馬のスポーツについて書いてみます。

知人コニーさんと馬 目隠しは蚊よけのガーゼ
知人コニーさんと馬 目隠しは蚊よけのガーゼ

日本より面積の広いスウェーデンは人口が約950万人、そして国内に現在約36万頭の馬が生育していると言うのですから、人口26人に1頭当たりの馬がいる事になります。日本の数は筆者には分かりませんが、スウェーデンの場合、広大な大地を利用出来るだけに、また4週間の夏休みと共に余暇にも余裕があるだけに、ペットの犬、猫を飼うように田舎などでは馬を飼っている人が多く見られます。

先日数人の国会議員と共に、県内の各市議会議員と全国の馬協会の説明会に招待され、南スウェーデンでの講演会を聞いて来ました。スウェーデンでの馬の利用の仕方は大きく3つに分けられ、個人所有の馬の飼育、全国にある乗馬クラブ、そして国営の競馬です。競馬では売り上げの約半分が国の収入(国家予算へ)、約四分の一が各団体への補助、そして残りが競馬運営や賞金に回されるのですから、その残りの中から我々が大金を当てるのは難しいようです。

馬の講演会、現場見学
馬の講演会、現場見学

女の子達に大変人気のある乗馬クラブで、当地マルカリドの「マルカリド乗馬クラブ」を先日訪問して来ました。夕方の6時頃、7~8台の車が駐車場に停められていて、親達が馬舎の入り口あるいは子供達に付き添っている姿があちらこちらに見られました。まだ12歳前後かと思われる少女達が大きい馬に付き添い、リーダーの説明を熱心に聞いていました。

リーダーのリンダ(LINDA)さんに乗馬クラブについて聞いてみました。現在クラブ会員数は8歳から20歳までの約150人いるとの事でした。普通高校が始まる頃には多くの少女達は辞めていくけれど、それでも一部の少女達はその後もクラブに通い続け後年、大人になり自分の馬を持つ人もいるそうです。乗馬クラブの会員費は年間約5000クローネ(約7万5千円)。クラブでは乗馬用のヘルメットも貸していますが、ブーツからズボン、ジャケット、更に背中の保護具等と色々費用がかかります。それでも少女達にとっては憧れの的で、親達もそんな子供の願いをなんとか叶えているようです。

マルカリド乗馬クラブ
マルカリド乗馬クラブ

余談になりますが、もう40年近く前に筆者がルンド工科大学で勉強していた頃、気分転換にと乗馬クラブにちょっと通っていました。乗馬して初めて馬の大きさに驚かされたのを覚えています。ところが、数回通っていざ乗馬歩行を始めたら2、3度馬に投げ飛ばされ、怖くなりすぐ辞めてしまいました。「馬は人を見る」と言われますが、体格だけでなく頭の方も筆者より上だったのではと思っています。我が家の娘達も馬に投げ飛ばされはしなかったものの、乗馬クラブに通い出した頃には数回馬に咬まれたりして、その痛々しい姿を今でも思い出します。それでもやっぱり楽しいようで、中学生時代までは通っていました。乗馬クラブの練習は週に1度1時間でしたが、クラブ活動が無い日でも時々馬小屋へ行っていました。

馬の訓練、競技会場
馬の訓練、競技会場

10年ぶりに当地の乗馬クラブを訪問し、馬糞堆肥の懐かしい匂いと共に多くの少女達や付き添う親達を見て、コンピューターやスマートフォンの時代とは言え少女達にとってはやっぱり馬が1番の憧れなのだと感じました。

2014年5月31日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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