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第96号 スウェーデンの長いクリスマス

スウェーデンのクリスマスは、12月の間と1月13日の聖クヌートの日までです。今回はスウェーデンの長いクリスマスについて書いてみました。

1年で最も暗い冬至の後、12月24日にスウェーデンではクリスマスを祝います。12月25日でなく前日の24日、イブに1年間の最大行事として家族で祝うわけです。日本の大晦日、元旦と似ていて、クリスマスは家族での祝いが中心で、故郷を離れた子供達や家族がクリスマスに里帰りし、皆で祝う事になります。スウェーデンではクリスマスイブに祝いますが、ヨーロッパの多くの国々ではキリスト生誕日の12月25日にクリスマスを祝います。

クリスマスツリー
イケアの町、エルムフルトの広場に飾られたクリスマスツリー

クリスマスの習慣は中世の終わり頃から、キリスト教が浸透されたスウェーデンでも徐々に祝う様になりました。もっとも、中世の北欧スウェーデンはバイキングの時代、バイキングが東欧から北ヨーロッパ、イギリス、更に一部は北アメリカ迄盛んに遠征していた頃でした。その後期にクリスマスの習慣がすんなり受け入れられる様になったのは、既にバイキングの時代に、人々はクリスマスの頃に1年の収穫を祝っていて、その祝いの習慣と時期がクリスマスとほぼ同じ頃だったので、スムーズに受け継がれたと当国の歴史の本で読んだ事があります。多分12月、1月は日が短く、その上寒いので凶暴で有名なバイキングも海に出られず、故郷に帰って家族で暮らしていたのでしょう…。

スウェーデンの場合キリスト教国でもプロテスタントが大半で、現在ではクリスマスの当日に教会へ行く人は少なく、家庭で祝います。それだけに12月24日は朝から食事とクリスマスパーティーの準備にと、子供がいる家族は大忙しです。ましてやクリスマスは4週間前から飾り付けが各家庭で始まり、家の窓際には電灯の星やローソクが飾られ、クリスマスツリーも飾られます。以前書いたと思いますが、スウェーデンの習慣として、クリスマス4週間前の日曜日からアドベント(待降節・キリスト降誕を待ち望む期間 )と呼ばれ、アドベントキャンドルの第1本目に火が灯され、翌日曜日には第2本目のキャンドルに火を灯し、クリスマスまでに4本のアドベントキャンドルを灯していきます。日曜日毎にだんだんと増えるキャンドルの明かりを見ているだけでもクリスマスの気分が高まり、イブの24日が最高潮となります。

イケア家具店前のクリスマスの飾り
イケア家具店前のクリスマスの飾り

昨年2019年の我が家のクリスマスは例年と異なり、長女家族が住んでいる首都ストックホルムで祝いました。長女と共に長男もストックホルムに住んでいて、次女家族は南の大学街ルンド、更に3女は現在我々の住むスモーランド地方に住んでいるので、家族全員が列車や自家用車で12月22日頃から首都へと集合しました。長女の夫の両親はストックホルム郊外に住んでいるので、当日の昼頃から参加しました。

今回のクリスマスでは家族みんなと言うより、まだ2才と3才の2人の孫達が中心で、クリスマスプレゼントもチビ達にほとんどが贈られました。プレゼントはオモチャやぬいぐるみ、また絵本や洋服等が中心でした。大人達については例年と異なり、長女、次女 の意見で各自が値段上限200クローナ(約2200円)でプレゼントを1個だけ用意し、くじ引きで順番に選ぶ方式でした。一方クリスマス料理、食事についても事前の話し合いで、各々が料理を用意する事になりました。家内はチリメンキャベツ料理とパン2種、長女の夫の両親は大鹿のミートボール2種類、次女はハム、3女はニシン料理、長男は紅シャケと、私は簡単なウインナーソーセージと共にビールを購入し用意しました。

2才と3才の孫たち
2才と3才の孫たち

チビ達はサンタクロースの帽子や、雪模様の服装、母親達及び娘達女性はクリスマスに合わせ赤色を中心にした服装で、長女の夫も背広とまでいかないまでもブレザーでした。ところが私は恒例のクリスマスのネクタイを忘れてしまい、その上ジーパンだったので「おじいちゃん、ネクタイは…」と長女に冗談半分に注意されてしまいました。楽しいクリスマスの1日を皆で祝い、ワイン、ビールを沢山飲み、さて新年(2020年)は何処でクリスマスを祝おうかと話し合いました。

食事会の様子
食事会の様子

そして、年が明け1月13日を聖クヌートの日と呼び、聖クヌートの日までがクリスマスの祝いです。もっとも、家族皆でお祝いした後は何かするのではなく、クリスマスの飾りなどを、聖クヌートの日までそのままにしています。1月13日のクヌートの日に、家の中の飾り付け、電灯の星やキャンドルを取り外します。ちなみに、クヌートとはスウェーデン語では「結び」の意味、13日は結び目とも言えるでしょう。我が家では、室内のクリスマスツリーは葉、トゲが落ち出すので、その前に取外しますが、一般には外のクリスマスツリーは更に1、2週間は引き延ばしている様です。野外の電灯の飾りの取り外しは我が家では遅い方で2月の初め頃。その頃には日も伸び、明るくなって来るので、クリスマスの灯りは不要です。スウェーデンの街並みは、ごく最近までクリスマスの装いでした。

2020年1月30日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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