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第三回 中国のリンゴ

米国ワシントン州にあるベルローズ社が発行している年報「World Apple Review – 2017」に記載されている中国のリンゴ情勢を要約して紹介する。


○生産

1995年における中国のリンゴ生産量は1,401.7万tであったが、2016年には3割増の4,350万tとなり世界のリンゴ生産量の50.7%を占めている。

中国のリンゴ生産量が大きく伸びた要因は、単収(1ha当たりの収穫量)が2000年の9tから2014年に18tと倍増したことによるものである。2014年の結果樹面積は約230万haである。


○品種

中国のリンゴ産業にとって幸運であったことは、日本で育成された「ふじ」という素晴らしい品種に期待をかけたことである。

「ふじ」は中国の自然・栽培・市場環境によく適合した。米国農務省は、2015年の中国リンゴ生産量に占める「ふじ」の比率を66%とみている。

中国は「ふじ」の他に「レッドデリシャス」、「ゴールデンデリシャス」、「ガラ」、「ジョナゴールド」をかなり生産しているが、中国名が付けられているため、世界市場で混乱を引き起こしている。

知的財産に対する懸念から、商標名の付いた新品種の栽培許可を与える外国の苗木供給者はほとんどいない。唯一の例外は「ピンクレディ」である。


○一人当たりのリンゴ供給量

この20年間における中国の人口1人当たりのリンゴ供給量は、1999年から2002年にかけて一時的に停滞したものの、生産量の増加とともに拡大し続けている。2016年には31.5kgに達している。


○一人当たりのリンゴ(生食)消費量

今のところ中国産リンゴの大部分は生食用として国内で消費されている。

中国の人口1人当たりの生食用リンゴ消費量(2012~14年の3ヶ年平均)は27.19kgで、リンゴ生産国の中では最高である。日本は5.51kgである。


○輸出

中国政府は、長年にわたり生食用リンゴと濃縮リンゴ果汁の輸出を積極的に推進してきた。2008年頃から、リンゴ生産量の増加分は国内消費でまかない、輸出量は停滞もしくは落ち込んでいた。しかし、2016年のリンゴ輸出量は135万tと、今までの最大となった。

濃縮リンゴ果汁の輸出量は2006~08年の652万tがピークであったが、2016~17年は440万tである。


○中国リンゴの今後

中国のリンゴ生産量が増加し続け、生食用リンゴの国内消費量が停滞すると、中国政府は再び生食用リンゴと濃縮リンゴ果汁の輸出を重視するであろう。このことは世界のリンゴ市場での競合を増大させることになる。

中国の生果リンゴ輸出の主力は「ふじ」であるが、この時代は長く続かないかもしれない。「ふじ」の価格が低下しているからである。中国の輸出学者は、外国において新品種がかなり高価格を得ていることを十分に理解している。

中国は新しい方向に転換するのが非常に早い。世界のリンゴ産業は中国の今後に大きな関心を持っている。


(2018/2/5)

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一木 茂

元青森県りんご試験場長。現在はりんごについて広めるべく、筆を執る。

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