HOME - 品種・統計 - 農薬について

農薬の歴史

世界の動き・・・世界の動き  日本の動き・・・日本の動き
年代 歴史
1700年代以前 世界の動き約3000年前のローマ時代から、病害虫の防除に薬剤は用いられてきましたが、ほとんど効果はありませんでした。また、大量生産することもできなかったため、一般に販売されることもありませんでした。
薬剤以外には祈祷やまじないが行われてきましたが、実際の防除に効果があったとは考えにくいです。
1750年頃
(江戸時代)
日本の動き日本では初めて有効な害虫防除が出来るようになりました。油を水田に注ぎ、水面上に油膜を張り、その上に害虫をはらい落して、害虫を窒息させる方法でした。注油法と呼ばれるものです。
1700年代頃~
1800年代
世界の動き1700年代頃、欧州で防虫菊の粉が害虫の防除に効果があることがわかり、商品としても流通し始めました。また、デリスという植物の根も使われ始めました。
1851年、フランスのグリソン氏が、石灰硫黄合剤(石灰と硫黄を混ぜた物)がブドウの病害に効果があることを発見しました。
1880年頃、フランスで、ボルドー液(硫酸銅に石灰を混ぜた物)がブドウの病害に効果があることが発見されました。
1900年前後
(明治~大正時代)
日本の動きこの頃の日本では、諸外国で発明されていた農薬の導入、国産化への着手が行われ、石灰硫黄合剤や防虫菊粉、ボルドー液など現在使われているような農薬が登場します。これらの農薬は、農産物の生産に大きく寄与しました。
1938年 世界の動きDDT(※1)がスイスのミュラーによって発見されました。DDTは大量に合成可能な化合物を殺虫剤として最初に実用化したものだったため、その後の農薬開発の基礎となるものでした。農薬としての殺虫効果も強力で、第2次世界大戦後はマラリア・蚊・しらみなどの撲滅に大きな効果を発揮しました。
1940年~1944年 世界の動きDDTに刺激され各国で研究がはじまり、高い殺虫効果がある様々な有機合成農薬(現在の農薬の9割は有機合成農薬)が誕生しました。
1944年には初の除草剤が誕生しました。
1945年~
(昭和20年~)
日本の動き外国からDDTやBHCなどの有機合成農薬が入り、戦後初期の食糧増産時代の農産物生産に大きく貢献しました。
昭和30年(1955年)代以降は、日本でも農薬の開発・研究が積極的に進められ、現在までに150以上の農薬が開発されています。
1962年以降 世界の動きアメリカのカーソン女史が発表した『(Silent Spring)サイレントスプリング』(※2)は世界中で大きな反響を呼びました。この本は、殺虫剤のDDTなどが自然界で分解されにくく、環境に蓄積し、害を招く危険性を指摘したものでした。
これ以降、農薬の安全性に関する議論が沸騰し、危険な農薬は次々に淘汰されていきました。そして、農薬の登録の際は各種毒性試験や自然界への残留試験を行うなど、農薬の毒性や環境への影響が考慮され、年々規制が厳しくなっています。

※1 DDT(ディーディーティー): 有機塩素系の殺虫剤の1つ。非常に安価に大量生産できる上に少量で効果があり、人間や家畜に無害であるように見えたため世界中で広く使用されていました。しかし、生態系への悪影響や残留性が問題視されたため、日本国内では製造・使用が禁止されています。

※2 『(Silent Spring)サイレントスプリング』:著者はアメリカのレイチェル・カーソン、邦題は「沈黙の春」です。化学物質による環境汚染の重大性を世界で初めて指摘した本です。

農薬に求められること

1930年代に登場して以来農薬は農業生産に高い効果を示してきましたが、毒性や残留性の問題を抱えたものでした。そのため、1960年代からの農薬開発は、人や環境に影響が少なく安全性が高いことが第一の課題とされてきました。その結果、現在の農薬は強力な効果と高い安全性をもった薬剤となっています。今後も農薬開発は進められていきますが、効果と安全性に加え様々な要素が考慮されたものになっていきます。

1、「少量で効果がある」
安全性が高いことに加え、環境への負荷を考え、少量で効果があることが求められています。
2、「選択性がある」
例えば、選択性のない除草剤を使用した場合、雑草だけでなく作物も枯らしてしまう可能性があります。よって、標的には効力を発揮し、標的以外には全く、あるいはほとんど影響のないことが求められています。
3、「残効性・残留性が適当である」
散布された農薬は日光や風雨、植物の体内で分解されていきますが、分解が早過ぎると効果の持続時間が短くなり、何度も散布しなければならなくなります。逆に、分解が遅い場合、効果は安定しますが、残留性が問題になります。かつてのDDT(※1)やBHC(※2)がそうでした。このため、効果が適当な期間持続し、その後は速やかに分解され残留の少ないことが求められています。
4、「薬剤抵抗性がつきにくい」
同じ農薬を長い間使い続けていると、対象の害虫や病気に効きにくくなることがあります。何種類かの薬剤を交替で使うなどされていますが、開発の段階から、抵抗性のつきにくい成分が添加された薬剤が求められています。
5、「使いやすく、安い」
農業人口の減少や高齢化は進む一方であるため、軽くてかさばらない、特別な機器や散布方法の必要ない薬剤が求められています。
日本経済の低迷や低価格の外国産農産物により、日本の農業は生産コストを下げざるをえません。このため、農薬も安価であることが求められています。

※1 DDT(ディーディーティー): 有機塩素系の殺虫剤の1つ。非常に安価に大量生産できる上に少量で効果があり、人間や家畜に無害であるように見えたため世界中で広く使用されていました。しかし、生態系への悪影響や残留性が問題視されたため、日本国内では製造・使用が禁止されています。

※2 BHC(ビーエイチシー):有機塩素系の殺虫剤の1つ。殺虫効果が高いため、農薬として広く使用されましたが、人に対する毒性が強く、残留問題もあったため、現在は日本を含め多くの国で使用が禁止されています。

農薬取締法

●目的

この法律は、農薬について登録の制度を設け、販売及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、もつて農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。

農薬取締法(昭和二十三年七月一日法律第八十二号)より抜粋

●主な内容

  • 製造、輸入業者による農薬の登録
  • 販売業者の届出
  • 無登録農薬の販売の禁止
  • 製品容器への表示事項
  • 農作物ごとに使用する農薬の剤型(粉、粒、水等)、使用方法、時期、回数

以上のようなものを詳細に定めた農薬安全基準が設けられています。

●農薬取締法の改正

  • 農薬の安全性

1970年頃(昭和40年代)、当時使われていた農薬の中には人に対する毒性が強いものがあり、「農薬使用中事故が多発した」「農作物への残留性が高い」「土壌への残留性が高い」といったことで、社会問題になりました。

このため、1971年(昭和46年)に農薬取締法が改正されました。「国民の健康の保護」と「国民の生活環境の保全」が目的規定に位置付けられ、農薬の登録の際は「哺乳類に対する急性毒性、慢性毒性」「農作物、土壌においての残留性」の試験成績書の提出が求められるようになりました。また、残留農薬対策の整備、農薬の使用規制制度も行われ、大幅な改正となりました。

●無登録農薬問題

2002年(平成14年)、無登録農薬が全国的に流通・使用されていることが明らかになり、国民の「食」に対する信頼を失う大きな問題になりました。 このため、2002年(平成14年)12月に農薬取締法が改正され、2003年(平成15年)3月10日から施行となりました。

新しい農薬取締法では、無登録農薬の製造・輸入・販売・使用の禁止、農薬使用基準の遵守、罰則の強化などが行われました。

農薬の登録制度について

●登録農薬

日本国内で農薬を製造・輸入・販売するためには、「農薬取締法」に基づき様々な過程で厳しく規制され、薬効・薬害・安全性の検査をクリアしなければなりません。

よって登録された農薬は、国の厳しい検査を受けて安全性が確保されるよう基準を設定し、使用方法を遵守することで安全性が確保された農薬となります。

●無登録農薬

国の厳しい検査を受けていない農薬です。よって、生物や環境に対しての安全性が確認されておらず、問題がある可能性が非常に高い農薬となります。

また、「食」に対する「安全」「安心」という信頼を失う大きな問題となるため、無登録農薬の使用が禁止となっています。

●農薬は決められた作物に

農薬は作物ごとに登録されているため、対象となる作物に対して決められた農薬を正しく使わなければなりません。例えば、りんごに登録があり、みかんに登録のない農薬をみかんに使った場合、無登録農薬を使ったことになります。

農薬についてのQ&A

トレーサビリティって何?

トレーサビリティとは、trace(トレース)とability(アビリティ)を組み合わせた言葉で、追跡可能性という意味があります。食品のトレーサビリティとは、食品の生産方法や流通経路を確認できるようにすることです。「どこの原材料なのか」「誰によって、どこでどのようにつくられたのか」「どのようなやりとりで販売されたのか」といった情報を知ることができます。

●トレーサビリティのメリットには

(1)食品の安全性に関する問題(食中毒、偽装表示等)が起こった場合、問題となった食品の追跡・回収や、何故問題が起こったかという原因の究明が容易にできる。
(2)「農場から食卓まで」の過程を明らかにすることで、スーパーなどで消費者は食品の安全性や品質、表示を信頼し安心して食品を購入できるという点があります。

農薬は本当に安全なの?

農薬は、登録に際して毒性評価を行い、人畜などへの害がない量的な範囲を作物残留などの基準として定め、この基準を超えないように使用方法が決められています。これにより、使用方法を遵守し、安全が確保された作物しか販売することはできません。よって消費者の皆様の元へ届くりんごは安全ですので、安心してお召し上がりください。

●農薬の表示例

農薬には必ず下の表のような、使用に関する基準がラベル等に表示されています。

例)○○水和剤

作物名 適用病害虫名 希釈倍数 使用時期 本剤の
使用回数
使用
方法
△△を含む農薬の
総使用回数
りんご モモシンクイガ
キンモンホソガ
アブラムシ類
1000倍 収穫7日前まで 3回以内 散布 3回以内

その農薬を使用できる作物、使用目的(適用病害虫等)等、農薬取締法により定められた使用基準が記されています。この表に書かれたとおり使用すれば薬剤散布の効果が期待でき、残留等の問題は発生しないので、使用目的、方法を必ず守らなければなりません。
●作物名
ここに表示されている作物以外には使えません。
●適用病害虫名
ここに表示されている病害虫の防除に使います。
●希釈倍数
表示されている倍数に水で薄めて使います。
●使用時期
農薬が使用できる時期を表しています。(この例では収穫する7日前まで使用できます。)
●本剤の使用回数
栽培期間中に使用できる回数です。
●△△の有効成分を含む総使用回数
栽培期間中に同じ有効成分が含まれる農薬を使用できる最大限の回数のことです。

農薬の飛散ってどういう状態? 飛散したらダメなの?

飛散(ドリフト)とは、農薬散布時に目的以外の作物に農薬が飛び散ってしまうことです。
飛散の要因としては、「風が強い」「散布量が多い」「防除機械の圧力が強い」などがあります。
収穫間近の農地に飛散すれば、作物に付着し、残留農薬として問題になる可能性があります。その農地が他人のものであった場合は、自分の不注意から多大な迷惑をかけることになります。また、近くに住宅地があれば住民への健康被害が心配されます。
飛散を防ぐためには、「風向きに気を付けて、風が弱い日に散布する」「散布量が多くなりすぎないようにする」「散布圧力を上げすぎない」「まわりの作物をシートやネットで覆う」「生産者、住民、病院等の関係者に散布することを伝える」などして、飛散防止を徹底しなければなりません。

ネガティブリスト制とポジティブリスト制って何?

2006年5月29日、食品の残留農薬基準がネガティブリスト制からポジティブリスト制に移行しました。
ネガティブリスト制では、原則として規制が無い中、「残留してはならないもの」をリストにしています。リスト内のもので基準値以上の残留農薬が検出された場合、その農産物の流通が規制されます。
ポジティブリスト制では、原則として全てを禁止する中で、「認めるもの」をリストにしています。基準値以上の農薬が検出された場合、その農産物の流通は規制されますが、ネガティブリスト制と違うのは、全ての組み合わせ(品目×農薬)で基準値が設定されていることです。
これまでは、残留基準が定められてない農薬は残留が検出されても基本的に規制対象外となり流通することが出来きました。この改正によって、そのような場合でも暫定基準や一律基準によって規制対象となり、より安全な食品の流通を期待できるようになりました。

農薬にはどのような種類があるの?

農薬は用途によって次のように分類されます。

殺虫剤 農作物を加害する害虫を防除する薬剤
殺菌剤 農作物を加害する病気を防除する薬剤
殺虫・殺菌剤 農作物の害虫、病気を同時に防除する薬剤
除草剤 雑草を防除する薬剤
殺鼠(そ)剤 農作物を加害する野ネズミなどを防除する薬剤
植物成長調整剤 農作物の生育を促進・抑制する薬剤
誘引(ゆういん)剤 主として害虫をにおいなどでおびき寄せる薬剤
忌避(きひ)剤 農作物を加害する哺乳動物や鳥類が近寄らないようにする薬剤
展着(てんちゃく)剤 他の農薬と混ぜて使い、その農薬の付着性を高める薬剤
微生物剤 微生物を使って害虫・病気等を防除する薬剤

肥料も農薬なの? 何のために農薬は使うの?

農薬は、農作物の「虫害や病気の予防」「防虫・防草」「生理機能の増進・抑制」等の役割で使われます。 人間では予防注射、防虫スプレー、風邪薬等の薬に例えられます。
肥料は、農作物を生育させるための栄養分を補うものです。
農作物は、土壌から栄養分を吸って生育するものなので、減少した分の栄養を土壌に補給しなければ、農業を続けていくことは不可能になります。
人間も農作物と同じで、栄養を補給しなければ育ちませんし、やがて死んでしまいます。肥料は人間では食事に例えられます。
薬と食事は別物ですので、肥料は農薬ではありません。

農薬を使わないとりんごは作れないの?

農薬を使用しないでりんごを栽培できたら、消費者にとっても生産者にとっても良いことです。しかし農薬を使わなければ、りんごの樹は病気にかかったり、葉は害虫に食べられるなどの被害を受け、樹が枯れてしまいます。
りんごの果実にも病気がついたり、害虫が入ったりし、食べられなくなります。また、農薬を使用しないでりんごを栽培した場合、売り物になるものは3%程度になることがわかっています。
りんご栽培には農薬は不可欠であると言えるでしょう。

新着情報

〈新ブログ一覧〉
〈旧ブログ一覧〉

海外のウェブサイト

台湾 繁体中文中国 簡体中文英語 English

おすすめコラム

Page Top