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おいしいりんごが食べたくて。
~じゃいご女将のご試食コラム~

 空が高くなって、風がひんやりと肌に触れるころ、津軽地方では至るところでさまざまなりんごが並びはじめます。大地の恵みと作り手の思いが詰まったこの宝物を、北東北国出身のじゃいご(=田舎)女将が丸かじり! あなたも、お気に入りの一つを見つけてみませんか。

Vol.1 紅玉、トキ、ひろさきふじ

今回は3種類のりんごを食べてみました。

紅玉

一つ目は「紅玉」。全国的にもよく知られた品種です。歯を立てるとポクッと音良く割れます。一気に広がる華やかな香り。歯ごたえがあり、カシュッ、カシュッと噛みくだくと、溢れ出す酸味の強い果汁。あごの付け根のあたりから、唾液がにじみ出てきます。
 これからの季節は受験生の夜食におすすめです。噛みごたえと酸味があるので、眠気覚ましにピッタリ。皮にもうま味を感じられるので、食事としての満足感も得られます。カップ麺や菓子パンよりずっと体に良いですしね。
 幼いころ、紅玉をみて「白雪姫のりんごだ」と思いました。白雪姫の手に収まりそうな小ぶりな実。艶のある深い紅色がとてもおいしそうに、けれども怪しく目に映ったものです。我慢したくてもつい手が伸びてしまう、そんな甘美な誘惑がりんごには詰まっているように感じます。

トキ

姫を表すのが紅玉なら、対称にあるのが「トキ」です。まん丸の形に、黄色い果皮。ところどころピンク色に染まっているところが、田舎の自然の中で育った娘のほっぺのようです。見た目だけで愛着がわいてきます。
 果汁が多く、酸味が弱いので、何よりも甘みが引き立ちます。バナナやマンゴーに似た濃厚な香りです。皮も薄いのでとても食べやすいですね。 りんごの輸出の約8割が台湾行きといいますが、このトロピカルな味は近隣アジアでもきっと喜ばれるでしょう。国内でも人気急上昇中ですが、この 「 ( むすめ ) っこ」には思いきり世界へはばたいてほしいです。
 シチュエーションとしては女子会に一票です。女子会に欠かせないのが何といってもスイーツ!コクのある甘味 ( かんみ ) はおしゃべりのパワーの源です。とはいえ、気になるのはカロリー。青森女子なら、ケーキやドーナツよりも、トキを片手に語り尽くしてストレス発散。ヘルシーに女子力を上げるべし、です。

トキ

3つ目は「ひろさきふじ」です。ふじよりも1カ月早く収穫できる早生ふじの一つで、味もふじに似ています。酸っぱすぎず、やや軟らかい感じ。バランスの良さがこのりんごの良いところですね。私が食べたものは、蜜が入っていました。さて、この蜜とは?
 子どものころはハチミツやシロップのような味を想像し、兄弟で争って食べたものです。しかし、この蜜自体はさほど甘くありません。「りんご講座」のページでも紹介されていますが、ソルビトールという物質で、果実の甘みとなる果糖やショ糖に変換されるものが水分を吸収してできたものなのだとか。つまり、蜜が入っているということは、もう糖に変えなくてもいいよ、とりんごが語っているわけで、それだけ実が完熟しているということなのですね。
 日本では「初物を食べると75日長生きする」と言われています。蜜入りは県外の方にも大変喜ばれますので、ひろさきふじは家族や親せきの方と分け合ったり、送り合ったりして食べてほしいですね。初秋の縁起物としてはもってこいの逸品です。
 私のお気に入りのりんごを見つける旅、まだ始まったばかりです。

 
ひろさきふじ

2014/10/17

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プロフィール

上原 香織

盛岡市生まれ。土手町「鮨たむら」女将。出版社、広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動。結婚、夫の転勤を機に弘前市に転居する。現在は夫婦ですし店を切り盛りしながら、青森のおいしいものを探索中。趣味は観光と登山。一児の母。
「鮨たむら」の店舗情報http://www.seijiro.jp/sushitamura/index.html

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