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第13回 ニュージーランドのリンゴ

1. ニュージーランドのリンゴ産業

 Good Fruit Grower(2018年4月1日号)にニューシーランド(以下NZ)のリンゴ産業についての記事が掲載されている。要約して紹介する。
 NZの人口は470万人(日本の人口:約1億2623万人)、2017年に外国から観光で訪れた人は350万人である。NZにとって観光業は大きな産業であるが、トップ産業ではない。最大の産業は農産物の輸出である。

果樹関連の輸出額(2016年)は、

・キウイフルーツ 10億6070万ドル
・ワイン 10億5600ドル
・リンゴ 6億9200万ドル

である。

 NZ産リンゴは生産量の70%近くが輸出に向けられる。輸出先(2016年)は、

・アジア 41%
・ヨーロッパ大陸 24%
・アメリカ大陸 16%
・イギリス及びアイルランド 13%
・その他の地域 6%

である。

品種別輸出量の割合(2016年)は、

・「ロイヤルガラ」 35%
・「ブレーバーン」 17%
・「ふじ」「ジャズ」 各10%
・「その他品種」 約8%
・「ピンクレディ」 7%
・「グラニースミス」「パシフィックローズ」「パシフィッククイーン」 各3%
・「エンヴィ」 2%
・「コックスオレンジピピン」「パシフィックビューティ」 各1%

である。

 NZのリンゴ産業は、30年間にわたり輸出市場が望む品種開発に多くの投資を行ってきた。生産者も輸出市場で高値のつく高品質果実の生産に努めている。

ロイヤルガラ(写真提供:『青森県のりんご』著者 杉山芬氏)
ロイヤルガラ(写真提供:『青森県のりんご』著者 杉山芬氏)

○NZのリンゴ主産地

 NZは南緯35度から45度にわたる北島と南島からなっている(国土面積は日本の3/4である)。NZのリンゴ主産地は盆地やなだらかな起状が続く丘陵地帯に分布している。

 NZ最大のリンゴ産地は北島のホーク湾の沿岸地方で、NZリンゴ栽培面積の約60%を占めている。この地方は土層が深く、肥沃(ひよく)な土壌で、日射が強く、生育期間が長い。降水量も十分にあり、リンゴ栽培にとって好適な環境である。問題は樹勢が旺盛になりすぎることである。生産者は樹勢のコントロールに最大の努力をしている。

 南島の北端に位置するタスマン/ネルソン地方のリンゴ栽培面積はNZ全体の30%程度を占めている。この地方の降水量は1,000ミリを超える。冬の8月から9月には降水量があるものの、10月から1月上旬までの降水量はなく、水不足になる。土壌は砂質から粘土質と変化が多く、様々な栽培環境を作り出している。

 世界のリンゴ主要産地と同様に、NZも新種を高密植栽培で新・改植することが標準になっている。

2. NZ産リンゴの生産・供給・流通

 米国農務省海外農業局が2018年11月1日に公表したGAIN Report Number:NZ1831に記載されているNZ産リンゴ事情を表1~3に示した。

○栽培面積・結果樹面積

(表1)NZ産リンゴの栽培面積・結果樹面積(ha)

項目/年 2017年
(確定値)
2018年
(予測値)
2019年
(予測値)
栽培面積 9,600 9,825 ※① 10,168
結果樹面積 9,164 9,400 ※② 9,700

 2019年の栽培面積は、前年を3.5%上回る10,168ha※①、結果樹面積は3.2%上回る9,700ha※②と予測される。(日本では前年に比べ300ha、1%下回る)

 栽培面積の増加は毎年300~400haで、増加率は3~4%である。栽培面積の40~50%はクラブ制品種である。

○生産量

(表2)NZ産リンゴの供給量(1月~12月:単位t)

項目/年 2017年
(確定値)
2018年
(予測値)
2019年
(予測値)
販売生産量 520,000 565,000 580,000
非販売生産量 3,000 3,000 3,000
全生産量(A) 523,000 568,000 ※③ 583,000
輸入量(B) 482 300 300
総供給量(A+B) 523,482 568,300 583,300

 2019年の生産量は、過去最高の583,000トン※③に達すると予測されている。その理由としては、2~3年前に新植された樹が結果年齢に達すること、主産地であるホークスベイ地方では2018年8月に降水量が多く、生育期間中の土壌水分が十分であったこと、前年が豊作であったが隔年結果対策が十分に行われたことが上げられる。

○輸出量

(表3)NZ産リンゴの流通量(1月~12月:単位t)

項目/年 2017年
(確定値)
2018年
(予測値)
2019年
(予測値)
国内消費量 70,552 72,800 583,300
輸出量 344,900 375,000 ※④ 390,000
加工仕向け量 108,000 120,500 120,000
総流通量 523,482 568,300 583,300

 2019年産の輸出量は、生産量の増加が見込まれることから前年を4%上回る390,000トン※④になると予測される。

 GAIN Report Number:NZ1831(2018.11.1公表)によると、NZの輸出業者は、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)が2019年初頭に批准され発効することに期待している。この協定により日本への輸出の増加が見込めると考えている。

 CPTPP発効前の、日本のNZ産リンゴに対する関税は17.0%であるが、1年目に12.7%、2年目には11.4%と日本のリンゴ関税は漸減し、最終的には撤廃される。

 ※CPTPPは2018年12月30日に、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダ及びオーストラリアの間で発効された。

3. わが国へのNZ産リンゴの輸入量

 財務省貿易統計によると、わが国へのリンゴ輸入はほとんどがNZ産である(表4)。

(表4)わが国のリンゴ輸入量(t)

国/年 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
ニュージーランド 143 1,894 2,291 2,563 1,300 1,902 3,648 3,428
米国 - - - - - - 609 331
オーストラリア - - - - - 21 - -
韓国 5 - - - - - - -
148 - - - - 1,923 4,257 3,759

資料:青森りんご流通対策要項2018(県りんご果樹課、2019年3月)

 2016年は1,902トン、2017年は3,648トン、2018年には3,428トンとなっている。国内産リンゴの価格高を背景に、今後どう推移するかは日本の消費者の選択にかかっている。

(2019/7/5)

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プロフィール

一木 茂

元青森県りんご試験場長。現在はりんごについて広めるべく、筆を執る。

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