会津宏樹の
りんご高密植栽培日記

試考
2025.5.16

12月から徐々に来た大雪。
年末頃はちょうど青森県にはいない時で、
SNSを見て大雪だと知りました。
この高密植栽培での一番の懸念点は、
自分は大雪だと思っていました。
地元では「トレリスのワイヤーを跨げるくらい降った」
という話があるくらいで、
大雪には戦々恐々と。
でも逆にそのくらいの大雪が来て、
どのくらい被害があるのか、
どんな対策が有効か
というのも、興味があり、
この大雪はとても勉強になると思っていました。
が、予想以上に降り、まさかの観測史上最高積雪になるとは・・・。
自然に試されている気がします。

最初に園地を見に行ったのは、1月11日でした。
その時は約1mの積雪で、
これからまた降ると雪が圧縮した状態、
締まった状態になると思い、
最初の炭撒きをしました。
たった二日三日の晴れがあるだけでも、
下までザラメ状になり、効果はあったと思います。
もう既にこの積雪で枝折れも少し見えていましたが、
いつか切り落とすような太い枝や下枝だったため、
あまり気にしていません。
3年生の木だと、ちょっと枝量が減るだけで
樹勢のバランスが悪くなるという、厄介な点もありますが、
それほど大きな被害はありませんでした。

この頃の津軽の人たちは、園地に行っても、
足が埋まって歩きにくいため、家で除雪や
屋根の雪下ろしが毎日の方がほとんどだったと思います。

次の週も降って、その後晴れ間があったので、
また炭を撒きました。
この時で1m30cmを越え、
枝堀りという、雪に埋まった枝をスコップで掘り返す、
いわば除雪をしてみました。
これがとにかくキツく、挫折しました。
枝の前に心が折れました。
でも一番効果があるのがこの枝掘りなんですけどね。
一度炭を撒いたところは下までザラメ状。
数日の晴れ間でしたが、効果はばっちりでした。

飛ばすタイプの除雪機を持っている方は、
枝のギリギリをロータリーで飛ばして、
その空いた空間に、枝の上に乗っかってる雪を寄せていました。
それが一番疲れない枝掘りだと思います。
スコップでひたすらやるのは、
枝は折れないけど、骨が折れる作業です。
除雪機が欲しくなる冬でした。

枝を掘った後、また大雪があり、
園地を見に行くと、その堀ったのが嘘かのように
掘ってない所と同じくらい
掘った場所も積もってるの、
なんでなんでしょうね(笑)

3月になる前には、一番上のトレリスのワイヤーが
目線の高さになっていました。
炭を撒くこと4回、晴れ間が少しでも続きそうな時は、
必ず撒いています。
そして3月、その効果は絶大で、
撒いたところはメキメキと雪が融けていき、
そこだけガクンと減っており、
3月15日で60センチまで減りました。
掘った方は、さすがに土まで見えています。

不安要素だった大雪での枝折れの被害ですが、
自分のところは予想以上に被害はなく、
3年生の太い枝も細い枝も残っているし、
4年生では一番欲しい胸の高さの枝のほとんどは残っています。
下枝で主幹から折れた箇所が、
65ヶ所でした。
160本植えているうち、
たった65本にある枝の下枝の一本が折れた計算です。
わい化のシナノゴールドの下枝はボッキボキです(笑)

下垂誘引の仕立て方が良かったのか、
適期に炭を小まめに撒いたのが良かったのか、
これから枝折れ被害と炭の撒いた回数の検証が必要だと思います。

高密植栽培の補助金の増額も決まったという話も耳に入ってきました。
益々高密植栽培に移行する農家さんが増えることが確実でしょう。
苗木の供給不足だったり、課題はありますが、
資材はさらに高騰していくと思うので、
取り組むなら早めに取り組んだ方が良いように思えます。
うちは少なくとも増やす予定です。

PROFILE
会津宏樹のプロフィール

板柳町のりんご農家(アルファーム)。

22歳の時に祖父の跡を継いで70aのりんご畑からスタートし、現在2.4ha。

全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)63代目会長、
農水省の働き方改革委員や西北五地域活性化委員も務める。

4Hクラブの研修で長野県に行った時に、高密植栽培を見て興味を持つ。

現在農業に興味のある県外の大学生のファームステイを受け入れており、
りんごの現場を体験させたり、青森を知ってもらう活動をしている。

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