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第3号 スウェーデンのクリスマス

日本では新年を迎える大晦日から元旦にかけてが、一年の中で最も華やかでお祝いムードに包まれる瞬間ですね。故郷で年末年始を過ごそうと、多くの帰省客で交通機関(高速道路や列車、飛行機など)が混み合い、テレビニュースや新聞でも毎年恒例のように報道されるのは皆様もご存知のとおりではないでしょうか。

 一方、北欧などヨーロッパではクリスマス、スウェーデンではクリスマスイブが日本で言う大晦日にあたり、同国では日本の大晦日同様、クリスマスの数日前になると、帰省客で交通機関が大変混み合います。

イルミネーション
イルミネーション

日本では家族で年越し料理を食べ、NHK紅白歌合戦を観て大晦日を過ごし、正月にはおせち料理やお餅を食べ、子供達へお年玉をあげるのが一般的ですね。スウェーデンではクリスマスイブの12月24日は家族全員が集まり、午後から盛大な食事会を催した後、テレビでディズニーアニメを観て過ごします。そして、夜を迎えた頃、サンタクロースの登場(パパやおじいちゃんが変装します)で最高潮を迎え、クリスマスプレゼントを子供達へ手渡します。プレゼントを貰った子供達の歓声が今にも聞こえてきそうですが、今回はそんなクリスマスを間近に控えた12月中旬の街の様子について綴ってみました。

サンタクロース
サンタクロース

クリスマスの準備、飾り付けはクリスマスから4週間前の日曜日の「アドベント」(イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のこと、日本では待降節(たいこうせつ)または降臨節(こうりんせつ)と呼ばれる、毎年キリスト降誕4週間前の日曜日から始まる)からスタートし、今年のアドベントは11月27日の日曜日からでした。ユールフィルツニング(Julskyltning,Jul=クリスマス、Skyltning=標識、展示)と言って、商店街ではこの日に合わせ一斉に、ショーウインドーにはクリスマスの装飾、通りは雰囲気を盛り上げる電飾で彩られ、広場には大きいクリスマスツリーが飾られます。秋から冬へと日照時間が短くなった北欧にとって、アドベントは普段と違う色鮮やかな明かりが灯されるので、前日の暗い街から一気に解放されるとともに、間近に迫ったクリスマス、そして新年へと続くこの時期は、心もウキウキとした気分で思わずテンションが上がります。

広場のクリスマスツリー
広場のクリスマスツリー

各家庭ではアドベント開始日(今年は11月27日)にアドベントキャンドルの1本に火を灯すのが古くからの習わしです。キャンドルは全部で4本あり、この日から日曜日毎に1本ずつ灯していき、このろうそくは待降節の4回に主日を意味しています。この時期はひとつずつ増えるろうそくを眺める度に、クリスマスへの期待感が高まっていくのを感じているのは私だけではないはずです。

アドベントキャンドル
アドベントキャンドル

普段は日曜日が定休日のお店でもアドベントのこの日は、きれいに飾り付けをして夕方までお店を開けるのが一般的です。日没を迎え、辺りが暗くなると、美しく飾られた店先のショーウインドーを眺め、クリスマスプレゼントを探す人々の姿がよく見られます。また、通りでは知人、友人に出会うことも多く、「こんにちは」「元気だった?」といった何気ない会話があちらこちらで聞こえてきます。

お店のショーウインド―
お店のショーウインド―

寒いスウェーデンの夜を出歩く時に欠かせないのが、香料を効かせた暖かい赤ワインに、刻んだアーモンドと干しぶどうを入れたグロッグ(Glogg)という飲み物です。色は違いますが、日本の濁り酒とちょっと似ています。独特の香りが飲み手の気分を誘い、寒さの中でいただくこの赤ワインは最高です。

12月13日はサンタ・ルチア祭が開催されます。このお祭りはスウェーデン式のミスユニバース大会のようなもので、各々の市町村では高校生を中心に15歳~20歳までの女性が推薦で選ばれ、その後、住民の投票で1位を獲得した女性がその年のルチア娘となります。13日の早朝にはルチア娘と付添人の6人が真っ白な服を身にまとい、ルチア娘は頭にキャンドルの冠を付け、付添人は手にキャンドルを持ち、サンタ・ルチアの歌を歌いながら施設や役所などを訪問するという、ちょっと神秘的な光景が見られます。

サンタ・ルチア祭の様子
サンタ・ルチア祭の様子

12月24日のクリスマスイブに向け、我が家でもそろそろ家内とクリスマスの準備、飾り付けに取り掛かります。大人になった子供達の帰郷を前に、「今年は何をプレゼントしようか」、「予算はどれくらいにしようか」と二人で相談し合う今日近頃です。

最後にこのコラムをご覧になった皆様が家族や恋人、友人と素敵なクリスマスを幸せに過ごせることを遠いスウェーデンの地よりお祈りしております。楽しいクリスマスをどうぞお迎えください。それではまた、次回もお楽しみに。

2011年12月16日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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