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第4号 スウェーデン流クリスマス料理

前回は「スウェーデンのクリスマス」と題し、街の様子やクリスマスの習慣、イベントについてご紹介させていただきましたが、今回はクリスマスの食事について綴ってみましょう。

以前ご紹介したとおり、スウェーデンを始め、北欧では日本で言う大晦日がクリスマスに当たります。日本では年越しには年越しそばを食べ、新年を迎えておせち料理を食べるといったしきたりがあるように、スウェーデンではクリスマスに盛大な料理をこしらえ家族でお祝いするのが定番です。

クリスマスの食事会
クリスマスの食事会

12月24日、クリスマスイブの食事会に向けて、多くの主婦は3~4日前から支度を始めますが、男性も手伝わなければ食事にありつけないかもしれないほど準備が大変です。

私の小さい頃の思い出話になりますが、戦後10~15年の食糧が潤沢とは言えないそんな時代でさえ、大晦日だけはたくさんの料理がテーブルに並べられました。今こうしてクリスマスに向けて準備をしていると、母親が女手一人で数日前から一生懸命準備してくれたこと、兄弟3人でもこの日だけは食べ切れなかったことをふと思い出します。

バイキングの様子
バイキングの様子

今や多くの国々で見かけるようになったバイキングを生んだスウェーデンは、クリスマス料理もバイキング形式で、各自中央のテーブルに並ぶ料理を取りに行き、その都度皿も取り替える仕組みです。クリスマス料理にはパターンがあり、以下のような順番でいただきます。

最初に冷製の魚料理で始まり、次の第2部はハムやソーセージ等の冷製肉料理、第3部に温かい食事と続いて最後にデザート、コーヒーとなります。飲み物はビール(黒っぽい甘みのあるクリスマスビール)に始まり、魚料理には強いスナップス(ストレートウォッカにスパイスやハーブを加えたもの)、肉料理、温かい食事にはワイン、そしてデザートにはウイスキーかブランデー、または甘みのあるチェリーとともにコーヒーで終わるのが一般的です。

最初の冷製魚料理にはニシンが多く使われます。酢にタマネギやコショウを加えた辛子漬けやクリーム、マヨネーズで味付けしたもの、焼き物など、ニシン料理だけでも5~10種類に上ります。その他に鮭を燻製、甘塩漬けにしたものや、最近は少なくなりましたが、ウナギの燻製、干し魚(Lutfisk)もクリスマスに欠かせない魚料理です。スウェーデンは海の国だけに、魚料理は豊富です。

冷製魚料理
冷製魚料理

第2部の冷製肉料理では、オーブンで燻したり、茹でたハムを香辛料で味付けします。ソーセージはスウェーデンも含めたゲルマン人の料理と思わせる程、種類が豊富です。クリスマスソーセージといって、白っぽいソーセージなど、様々な種類が輪切りで並べられます。余談ですが、フランクフルトというとドイツの都市名ということ以外に、ソーセージの名前として思い浮かべる人の方も多いのではないでしょうか。ハンバーガーも北ドイツの大都市ハンブルグから来たと言われています。

ごちそうのハム
ごちそうのハム

第3部の温かい料理はジャガイモとニシンをメインにしたグラタン、ミートボールやベーコン、卵料理、茹でたジャガイモなどが並びます。またキャベツを使った料理はバラエティに富んでいて、煮込み料理、酸炒め、醤油炒めなどがあります。

最後のデザートは日本でいうお粥に似たご飯(アーモンド入り)が出されます。食べ方は砂糖やカネルという香辛料をお粥にふりかけ、更に温かいジュースをかけていただきます。その時、運良く自分のご飯の中にアーモンドが入っていた人は、翌年のクリスマスまでに結婚するとも言われています。その真意は分かりませんが…そんなジンクスがあります。ご飯と一緒にチョコレートなどのお菓子、みかんなどの果物が出され、コーヒーでクリスマス料理は終わりです。

様々なデザート
様々なデザート

クリスマスはこのような食事のパターンがあって、各家庭やレストランでも多少の違いはあるものの概ね今回ご紹介した料理が並びます。量が多いだけに、クリスマスイブだけでは食べ切れず、クリスマスの後3、4日は前述の料理が食卓を囲むテーブルと冷蔵庫を何度も何度も往復することになります。

家族での楽しい食事会
家族での楽しい食事会

最後にクリスマスの食事会やこれから迎える年越しが終わった新年頃にスウェーデン人に会うと、食べ過ぎによってクリスマス前よりお腹が出た哀れな人の姿が多く見られるかもしれません(笑)。皆さんも年末年始、食べ過ぎや飲み過ぎに注意して下さいね。

次回もどうぞお楽しみに。そして良い新年をお迎え下さい。

2011年12月29日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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