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第13号 北スウェーデン 白夜の世界

弘前での思い出は、雪のあったさくらまつりより、「大紅栄」のりんごでした。その色、味に心を動かされ、そして北欧にまた戻って来ました。戻ってから数週間後の5月の下旬、北スウェーデンのウメオ市へ、環境党の全国大会に参加する為4日間行って来ました。

北スウェーデンのウメオ市

ウメオ市は南スウェーデンと異なり、すでに白夜の世界。夜の12時を過ぎても不気味な青空、時差ぼけの様に心身とも幻想の世界をさまよっている様な感じでした。今回は北スウェーデンの様子を書いてみましょう。

ウメオ(UMEÅ)市は、筆者の住んでいるマルカリド市から約1,200キロ程北上した、北スウェーデン(ノーランド、ラップランド)第一の都市です。ウメオのオ(Å)はアルファベット、エー(A)の上に丸を付けた、スウェーデン語独特の文字で、「オ」と発音します。そしてこの「オ」の意味は、「大河」です。内陸の山々、また氷河から流れて来た沢山の水を蓄えた河が、街の真ん中を流れているのが印象的な街です。ちなみに北スウェーデンの海岸線の市町村の名前には、「大河」で終わる地名が多く、例えばシェレフテオ(Skellefteå)、ピティオ(Piteå)、ルレオ(Luleå)とそれぞれ「大河」の名前がそのまま町名となっていて、ほぼ町の中心部を河が流れています。川、水のある所に町が作られる…世界中同じではないかと思います。

私の住んでいる南スウェーデンは山が少なく、わりと平坦な風景で、湖、沼が目立ち、川は少ないのですが、北スウェーデンに行くと山々が目立ち、そして北、内陸部に行く程山は高くなり、湖と共に大河が特徴的です。そして森林も増え、逆に人口はまばらになっていき、町も海岸線に集中していきます。

今から1万年程前まではスウェーデン、スカンジナビア半島は氷河に覆われていました。北スウェーデンにある最高峰のケブネカイセ(Kebnekaise)山は標高2117メートル、現在でも山頂は万年雪で覆われ、氷河が周りに見られ、雄大な自然を満悦できます。

白樺の町

ウメオ市は「白樺の町」と呼ばれているくらい、町中に沢山の白樺が植えられています。また、大学の街としても知られていて、北スウェーデンで唯一の人口増加を続けている都会とも記録されています。現在ウメオ市の人口は約11万人。10万人を超える都会が北スウェーデンではウメオ市だけです。南スウェーデンに比べ、北スウェーデンは過疎化が進んでいると言えるでしょう。

ウメオ

そんなウメオの中心部で今年は5月下旬、金曜日から日曜日までの3日間、環境党の全国大会が行われました。環境党ですから国内移動は飛行機ではなく列車と勧められ、当地マルカリドからは夜行列車とバスを乗り継いで、片道18時間程の旅。横道に逸れますが、東京からマルカリドまで飛行機と列車、バスでもそんなに時間はかからないのですから、旅の疲れと共に、遠くまで来たとつくづく感じてしまいました。

そして白夜の世界。本来白夜、太陽の沈まない地域は、ウメオより更に300キロ程北上した北極線(Norra Polcirkeln)より北になりますが、ここウメオも日の出は早く日の入りがとても遅いので、太陽が沈んだ深夜でも明るく、夜の空は薄青い、夜のない世界。白夜と言うのがやっぱり妥当でしょう。

快晴

今回全国大会が行われた3日間は丁度快晴で暖かく、太陽に憧れている北欧、特に北の人達は、日中は半袖半ズボン姿が目立ちました。夜は少し寒くなりましたが、それでも金曜、土曜日は夜遅くまで、レストランや酒場、公園の芝生で飲み、おしゃべりしている人達が多く見られました。弘前の桜祭りの様な感じもして、なんだか微笑ましく思いました。

2012年7月6日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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