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第15号 夏を告げる真っ赤なイチゴ

北欧で採れる初夏の果物と言えば、イチゴでしょう。北国は寒く、果物の種類も限られているだけに、初夏のイチゴは大変印象的です。一方スウェーデンの果物の代表、リンゴは夏の終わり頃にならないと出ませんから、待ちに待った真っ赤なイチゴは、夏至祭の頃を中心に、太陽に憧れる北欧の人々には大変喜ばれます。今回はイチゴ狩りについて書いてみましょう。

真っ赤なイチゴ
真っ赤なイチゴ

リンゴもそうですが、イチゴもドイツやオランダからの輸入品より、値段は高くても国産のイチゴの方が新鮮で甘みもあり、農薬などほとんど使っていないことでとても喜ばれます。特にイチゴは柔らかい果物なので冷凍以外では保存も難しく、時期は6月中旬から7月中旬頃までのほんの1ヶ月だけなので、貴重な感じも与えます。

イチゴを栽培している農家にとっては、この短い期間にいかに多くの人手を集め収穫し、また新鮮なまま早く売り出すかが課題ともなります。人手不足のため、販売には中高校生がアルバイトをして活躍する事になります。スウェーデンの学校の夏休みは約2ヶ月半、6月10日頃から8月20日頃まで。学生達にとって長い夏休み、まずは2、3週間アルバイトをして小使いを貯める絶好の機会とも言えるでしょう。

イチゴの摘み取りに友達同士数人でアルバイト、そして街外れにはイチゴの売店が現れ、売り子には中高校生の姿が目立ちます。買う方もイチゴと共に、若者達を励ます気持ちがちょっとあるかも知れません。更に新鮮さがありますから、やっぱり良く売れる様です。

広大なイチゴ畑
広大なイチゴ畑
受付
受付

先日35キロ程離れた隣りの町、ヘッスレホルム(Hassleholm)へ買い物に行き、帰り道にイチゴ狩りをして来ました。広いイチゴ畑を解放していて、訪問者が持参した入れ物、あるいは栽培者の用意した紙箱に摘み取り、採った分だけお金を払う事になります。イチゴ栽培者の名前はパーソンさん。広々とした畑一杯にイチゴが植えられていました。値段は1キロ当たり28クローナ(約310円)で、売店や店で買う値段の約半額です。

まず駐車場に車を止め、受付へ入れ物の箱を受け取りに行きました。受付にはアルバイトと思われる14、5歳の少女2人がいました。彼女達にどの辺りで採ればいいか指示されて、早速イチゴ畑へと向かいました。夏休みシーズンなのであちこちに家族連れが目立ち、小さい子供達は「パパ、ママこっちにいっぱいイチゴがある、あっちにも!」と走り回り、イチゴを口いっぱいに頬張っていました。見ていていかにものどかな田舎の風景。葉っぱの緑に、真っ赤なイチゴがとても印象的でした。

イチゴはスウェーデン語でヨードグッベ(Jordgubbe)といい、直訳すると「土の爺」という意味でしょうか。愛嬌がある名ですがちょっぴり考えさせられてしまう名前です。多分、地面近くに実がなり、「爺」とは、頑固なお爺さんでも食べると思ったからでしょうか?確かドイツ語ではエーアトベーレ(Erdbeere)「土の果」という意味で、ドイツ語を更にもじったのがスウェーデン名みたいです。

30分位で6箱程イチゴを採り、腰も痛くなりつつ受付へと戻りました。少女に6箱目方を量ってもらったら2.2キロでした。その後車へ向かって歩いていたら、後ろから子供2人連れの家族が賑やかに通って行きました。「今日は、沢山採れたね」と声を掛けたら、「こんにちは」と返事。いかにも楽しそうな若い家族、名前はホルストさん。筆者は「爺」と言われそうな歳ですが、若い家族を見ていて、イチゴの影響なのか、とても微笑ましく思いました。

ホルストさん一家
ホルストさん一家

2012年8月8日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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