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第25号 北欧のクリスタル王国

日本酒はグラスで飲むより、瀬戸物のおちょこでぐい飲みや、津軽塗の様な重みのある瀬戸物で舌つづみを打ちながら飲むのが何よりの美味さです。まして冬の寒い中、熱燗でアルコール分と共に体を温める様にグーっと飲む、酒好きにとって北国ならではの楽しみではないでしょうか?

スウェーデンの地酒と言えば強いウオッカ、名称ブレンヴィン(Brannvin)ですが、パーティや食事会ではワインの方が喜ばれます。そして美味しいワインを飲むならやっぱりワイングラスも大切です。

素敵なクリスタルのワイングラスと言えば、スウェーデンではオレフォス(Oreffors)やコスタ(Kosta)のクリスタルグラスでしょうか?とてもシンプルで、ほとんど飾りの無い、スラーとしたグラスの曲線が特徴です。そしてワイングラスはとても薄く、強く握ると壊れてしまいそうです。今回はスウェーデンのクリスタルグラスについて書いてみましょう。

スウェーデンのクリスタルグラス

私の住んでいる地方名はスモーランド(Smaland)といい、aの上に丸が付いて発音はオとなります。スモーとは小さい、ランドは国・土地の意味なので、「小さい土地」と直訳できそうです。多分この地方一帯は石が多くて耕地に乏しく、土地が細かく分担されているからその様な名前が付けられたのでしょう。耕地の代わりに、森林が多くまた良質の砂もあるので、昔は材木を燃焼とした小規模のガラス工場があちこちに生み出されたのだと思います。スモーランドをクリスタル王国とも呼ぶのはそんな歴史から来ています。

そして世界的にもスウェーデンクリスタルとして有名なのは、オレフォス社やコスタ・ボーダ社で全てスモーランドにあります。特にオレフォスはワイングラスと共に、クリスタルのボール、大きいどんぶりの入れ物が有名。製品のボールはワイングラスと異なり厚いクリスタルで作られており、角ばった独特の模様で飾られ、光の反射がとても綺麗です。かつてはオレフォスのクリスタルボールが国連の賓客に贈られていました。格式もあり、その透き通った輝きに平和の象徴、国連のイメージが合ったからでしょう。

コスタ・アウトレット
コスタ・アウトレット

私の住むマルカリドから北東へ約150キロ程行くと、オレフォス村、コスタ村のあるクリスタル王国に着きます。まさに村と言っても良い様な小さい町で、2つの村の距離は30キロ程です。手作り伝統の両工場、コスタは250年、オレフォスは100年の歴史を持つのですから伝統の重みを感じます。しかし近年、後進国等からの大量生産・低価格競争には勝てず、生き抜いていく事も難しくなっています。

現在コスタクリスタルガラス工場は、バーゲンショッピング、クリスタル製品の店となり、工場の隣にはコスタクリスタルホテルが新築されました。ホテルの外部、内部はクリスタルで飾られて、夢の様な世界のちょっとした観光地、宿泊地としても有名になりつつあります。

クリスタルホテル

先日、雪の中コスタ村を訪れクリスタルホテルを見学してきました。雪に囲まれ買い物客もまばらで、夏とは違いちょっと寒々しい感じでした。それでもホテルのレセプションは綺麗なクリスタルで飾られ、好奇心で訪れた筆者に綺麗な受け付けの女性が「こんにちは」と一言。ちょっと写真を撮らせて下さいと聞いたら、「どうぞ」といかにも北欧の素朴さを感じました。値段は一泊約1,500クローナなので、円安の現在では2万円位でしょうか。凄く高いなーと思いました。すこし見学して、その後バーゲンショップで買い物をし家路につきました。

家に帰り早速、ガラスのグラスケースからオレフォスのワイングラスを取り出して、赤ワインを飲んでホテルの宿泊代わりと自らをなぐさめました。オレフォスやコスタのワイングラスは、イケヤの家具と共にスウェーデンでは多くの家庭で持っています。

自宅のグラスケースにはワイングラスが数多く並ぶ
自宅のグラスケースにはワイングラスが数多く並ぶ

2013年3月11日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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