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第46号 スウェーデン人の心のふるさとダーラナ地方

今年の夏休み、中部スウェーデンのダーラナ(Dalarna)地方に行ってきました。中部と言っても、当地マルカリド市からでは車で700キロ程北上、内陸部にあります。スウェーデンは南北の長さが直線で約1,500キロにもなると言われ、少し南部になりますが丁度半分位の位置にあると言えるでしょう。

ダーラナ地方の風景
ダーラナ地方の風景

日本では京都・奈良地方、あるいは飛騨高山のような歴史のある地方で、昔風の建物が残り、又典型的なスウェーデンの風土です。例えば、初代国王のグスタブ・バーサ王(Gustav Vasa)が未だ王として君臨し首都ストックホルムに入城する前の1520年代始め頃、ダーラナでの色々な説話があります。1度は戦争に負け、農家のトイレに隠れたとか。又ダーラナの兵隊達に助けられノルウエーに向かって逃げたという説もあります。

そしてこのノルウエーへの逃げた道が今日では長距離クロスカントリー、名称はバーサレース(ヴァーサロッペット)として有名になっています。全長90キロのクロスカントリーレースで1922年から毎年3月始め、約1万5千人程のスキーヤーが世界中から集まり賑わいます。もっともバーサレースの出発地はノルウェーに近いセーレン(Salen)で、そこから低地のモーラ(Mora)の町へ向かうのですから、グスタフ王の逃げた道を逆方向に滑るレースです。

バーサレースのゴール地点の町「モーラ」
バーサレースのゴール地点の町「モーラ」

そんなダーラナですが、風土民芸品としてスウェーデンを象徴する馬をモチーフにした木彫り細工の置物が有名です。名付けて「ダーラヘスト(Dalahast)」(ダーラナ馬)です。赤オレンジ色をベースに独特の模様が描かれています。歴史的にはダーラヘストは既に1600年代頃から作られていたとも言われますが、もともとは家具を作る合間に職人達がスウェーデン中部のあちこちで、色々な民芸品と言うより“飾り”“玩具”として作られたのが始まりのようです。

ダーラヘストの民芸品
ダーラヘストの民芸品

そして1800年から1900年代始めにかけ、現在の赤オレンジをベースにしたダーラへストが定着しました。伝統工芸品の生産地として、バーサレースのゴール地「モーラ」の郊外が有名です。モーラ町はダーラナ地方の中心地とも言えるでしょう。

ダーラへストの模様はそれぞれの民芸製作所により少し異なりますが、外部の人には同じように感じます。見ていても可愛らしい、落ち着いた模様でバイキングを生んだ北欧とは思えない、とても静かな素朴な感じを与えます。

ダーラヘスト製作所
ダーラヘスト製作所

世界最大のダーラヘスト、全高13メートルの像がダーラナ地方入り口の町、アヴェスタ(Avesta)郊外、国道の交差点にあります。交差点部はちょっとしたショッピングセンターにもなっていて、ドライブでの休憩をしながら、大きいダーラヘストを見上げ、いよいよダーラナ地方に来たかと感じるのでした。

高さ13mの世界一大きなダーラヘスト
高さ13mの世界一大きなダーラヘスト

ダーラナ地方は南部スウェーデンと異なり、緩やかな傾斜の小山が目立ち、そして北欧独特の沢山の湖や河が見られ、住家はまばらで森林が延々と続いています。田舎の住家は殆どが赤色で、ダーラへストの地色とどこか似ています。余談ですが、住家の赤色は、スウェーデン、特にダーラナ地方に多い銅鉱山からの、銅から色を作っていたと言われています。

ダーラナ地方の民家
ダーラナ地方の民家

スウェーデンにとっては、歴史と共に産業、文化の発祥地がダーラナ地方とも言えるでしょう。首都のストックホルムや白夜の北スウェーデン、ラップランド地方と共に、ダーラナ地方はスウェーデン人にとって、心の故郷とも言えるかもしれませんね。我が家にも日本の民芸品の飾りと共にカラフルなダーラへストが今では6つ飾られています。ダーラナを訪れると習慣としてひとつは必ず買うことにしているので、これまで6回は訪れたことになるでしょうか?何となくもう一度訪れてみたいと思う今日この頃です。

日本の民芸品

2014年10月14日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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