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第68号 スウェーデンで活躍する日本人芸術家

邦人の活躍が目立ったリオ夏季オリンピック大会も終わり一段落、ブラジルは日本人移民が多いので日本への興味が高く、多くのブラジル人が日本へ応援したとも伝えられました。当国スウェーデンは邦人の永住者はそんなに多くなく、約3,000人程度と言われています。そんな邦人の中で、時々芸術家の名前を耳にします。今回は南スウェーデン、エスラブ町(ESLÖV)近辺で活躍されている、陶芸家 三鬼了三(みきりょうぞう)さんを紹介してみます。

三鬼さん 1階仕事場、作品の前で
三鬼さん 1階仕事場、作品の前で

筆者が最初に三鬼さんに会ったのは既に20年程前の事、当時南スウェーデン、スコーネ日本人会の会長をしていた頃、小柄でハツラツととても元気そうな三鬼さんが「ストックホルムからスコーネの田舎へ引っ越しして来たので宜しく」と挨拶されたのが始まりでした。いかにも体力がありそうで、握手したら手が痛くなる程にギュッと握られ、その強さに驚かされました。後日知ったのですが、陶器が専門との事で、なるほど素材の粘土を捏ねるので、握力が凄いのだろうと思いました。三鬼さんは芸術家としてのエネルギーにあふれ、その体格を見て、この人は工房に10時間でも12時間でも詰め込める人だと感じました。

三鬼さんの作品
三鬼さんの作品

三鬼さんは昭和17年(1942年)生まれ、出身は大阪、京都で陶芸を学んだとの事でした。既に20歳代に渡欧していたからか、関西訛はそんなに感じられず、いかにもヨーロッパの生活、暮らしに慣れていると感じました。最初の訪欧はスウェーデンで、友人と共に共同工房を設立、隣国デンマークのギャラリーで最初の個展を開催したとの事、若干25、6歳の事ですから凄いものです。デンマークでの個展が成功し、デンマークへ引っ越し、農家を改造して工房設立と共にデンマーク人の奥様と家庭を築き上げました。1970年代後半にはスウェーデン中部、オレブロ市(Örebro)に招待され引っ越し、市の学校、図書館、病院等へ壁画レリーフ等の制作と共に、1980年代終わりから1990年代には大阪及び東京でも個展を開き活躍しました。オレブロ市からストックホルム経由で南スウェーデンに引っ越しして来たのか詳しく聞いていませんが、オレブロ市とストックホルム間の距離はわりと短いので、首都のストックホルムでも活躍していたのだと思います。

三鬼さん 工房の前で(旧小学校を改築)
三鬼さん 工房の前で(旧小学校を改築)

当地マルカリドからエスラブ迄は約80キロの距離、三鬼さんとは年に1、2度程会うのですが、現在74歳、とても元気です。工房(家)、それは廃校された小学校を改築したものですが、1階の大部屋は仕事場で、瀬戸物の焼き釜と共に、多くの作品が並べられていて、日々コツコツと仕事に専念している様子が伺われました。

三鬼さんの工房
三鬼さんの工房

話しは少し変わりますが、日本の彫刻家について更に書き足します。当地マルカリドから南東へ80キロ程行くと、黒い花崗岩(御影石)の採掘で有名な地域があります。その近辺には邦人彫刻家が数人住んでいて活躍しています。ずーっと以前の事ですがその彫刻家の1人、楢葉雍(ならはたかし)さんと知り合い2、3度コンタクトがありました。現在は既に90歳、30年程前スウェーデンを去りオランダへ、その後フランスへ引っ越しされ現在はそちらにお住まいとも聞いています。 楢葉さんは世界的にも有名な彫刻家で、その黒い御影石の大型彫刻はスウェーデンの各地にあります。例えば隣りの町、家具イケアの町、エルムフルト駅前公園には石橋が飾られています。更に南の大学町ルンドの広場には石の塔が置かれています。また当地から南東へ100キロ程行った港町、カールスハム(Karlshamn)海岸広場にも石の塔が置いてあります。彫刻をあまり理解出来ない筆者ですが、楢葉さんの作品を見ていると何か重みを感じられ、ずーっと昔ルンドで会った楢葉さんのその無口な姿が思い浮かばれるのでした。

エルムフルト駅前にある石橋
エルムフルト駅前にある石橋
石の塔 カールスハム海岸広場
石の塔 カールスハム海岸広場

2016年9月15日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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