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第83号 中小企業と水の町 ユングビー

当地マルカリドから車で北東へ50キロ行くと、家具のイケア創業地エルムフルト(Älmuhult)の町へ着きます。一方、当地から国道4号線を50キロ北上すると、隣りの町ユングビー(Ljungby)に着きます。マルカリド市の総人口は約1万人、エルムフルト市が約1万7千人、そしてユングビー市は約3万人です。ちなみにスウェーデンの総人口は昨年1千万人に達し、ニュースになりました。根底にはここ数年の移民増加により、人口増加に拍車がかかったからとも言えるでしょう。今回は話題を少し変え、隣りの町ユングビーについて書いてみます。

丘の上にある教会
丘の上にある教会

ユングビーの町の中心部で小高い丘の上に教会があり、日本のお城の様にそびえ立っています。現在では教会の隣りにユングビー総合病院の建物があります。そして町の北端にアイスホッケー場があり、スポーツではアイスホッケーがサッカー以上に人気があります。

ユングビー総合病院
ユングビー総合病院
アイスホッケー場 チームの名前はトロイヤ、ユングビーです
アイスホッケー場 チームの名前はトロイヤ、ユングビーです

ユングビーは当地マルカリドと同じく、中小企業、特に生産工場の町とも言えます。代表的な生産企業では、ホイルローダー生産会社のユングビーマシン株式会社 (Ljungby Maskin AB)、大型フォークリフト会社のスヴェトルック株式会社(Svetruck AB)と家庭電器会社のエレクトロルックス株式会社(Electrolux AB)です。もっともエレクトロルックス社は家庭電器の大手のメーカーで、ユングビーには大型洗濯機生産工場があるだけで、本社は首都ストックホルムにあります。

ユングビーマシン社は1993年に名前と共にユングビーで創業されました。現在約100人の従業員が働いていて、大型車のホイルローダーが知られています。一方のスヴェトルック社もユングビーが発祥地、今から約40年前にユングビーで創業、現地生まれの兄弟によって創立されました。現在従業員は約250人、大型のフォークリフトの生産が有名です。少し話をそらしますが、20年程前、そのスヴェトルック社の技師数人が会社を辞めユングビーの町を離れ、当地マルカリドに引っ越しして来て、コンテナ船用の大型フォークリフト会社を創立しました。現在では約100人の従業員で当地マルカリドから、世界の港へと輸出されています。ユングビーと共に、当地も含めエルムフルトのある近辺南中部のスウェーデンは生産工場を中心に中小企業が発展しやすい土壌があるとも言えるでしょう。

ユングビーの広場
ユングビーの広場

ユングビーは中小企業の町と共に、水の町としても知られています。湖の多い、また飲料水の豊富なスウェーデンですが、南スウェーデンのスコーネ地域、特に南スコーネ地方はスウェーデン第3都市マルメ市や大学町のルンド市等を含め地域全体で人口約100万人と人口が密集しています。反面土地は平地が多く、土壌は粘土層で新鮮な飲料水が不足がちでした。それで湖の多いユングビーが注目され1970年代に飲料水の移動用に80キロのトンネルがユングビーからスコーネへと掘られました。総長約80キロ、地下約40~50メートルの深さです。余談ですが、筆者が1970年代後半ルンド工科大学で勉強していた頃、そのトンネル工事の見学に行きました。素肌のトンネル内は雨水の様に地下水が漏れ、崩れないかしらと心配で傘を持って坑中を見学したのを思い出します。

中心部付近の通り
中心部付近の通り
中心部付近の通り 2,3階はアパートとなっている
中心部付近の通り 2,3階はアパートとなっている

水の話を続けると、1950年代の始めにユングビーの町の中心部が大火に遭いました。近辺の町々から消防車が参加し、また消防士だけでなく警察官も参加して消火に務めました。ところが当時消火栓の水道の水が間に合わず、緊急対策として町に流れていた川の生水を水道管に流し入れ、消火へと使用しました。それでようやく大火は食い止める事ができ、幸い死亡者も無くて良かったのですが…。川の生水を水道管に流し入れただけに、その後の後始末が大変だった様です。住民は水道の水は沸かして飲む様に勧められ、火事場泥棒はほとんどいなかったと伝えられていますが、反面一部の住民は消毒の為(?)にと酒に溺れた様子で、当時まだ禁酒の雰囲気が厳しかったスウェーデンでは話題にもなった様です。

ユングビーの喫茶店で食べた果物ケーキ
ユングビーの喫茶店で食べた果物ケーキ

2018年3月29日
スウェーデン在住、弘前市出身、工藤信彰

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プロフィール

工藤 信彰
Nobuaki Kudo

1949年弘前市生まれ。大学時代に3年程休学し、ヨーロッパを旅したことがきっかけで、大学卒業後スウェーデンに渡る。スウェーデンにてルンド工科大学を卒業し、一般企業へ就職するが、経済学を学ぶため退職しルンド大学経済学部へ入学する。卒業後は1990年~2015年までマルカリド市役所勤務。マルカリド市議会議員(2006年~2018年)を経て、現在は環境党マルカリド党首及び、クロノベリ県議会執行役員を務めている。

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