投稿日:2026/5/28
韓国の仁川からフェリーに乗り中国に入国しました。降りたのは遼寧省の東港。そこから中国の東北エリアである遼寧省、吉林省、黒竜江省を周りました。この地域は古来より遊牧民族が相次いで割拠し、時代ごとに支配者が入れ替わる中国の外縁にあたります。満州国があったのもこの地方で、今回は丹東、大連、瀋陽、長春、ハルビンといった旧関東州および旧満州国の主要都市を訪れました。
そして更に、華北エリアである北京市、山西省、内蒙古自治区に行きました。滞在したのは北京と大同、フフホトで、モンゴル入国のために鉄道で大移動しました。
鉄道でよく利用したのが、最も安いグレードの硬座というシートで、他の客と向かい合うタイプの座席です。斜め前に座った兄ちゃんがおもむろにりんごを取り出し、食べ始めました。その様子が格好よかったので、許可を得て写真をパシャり。そこから会話が生まれたので色々と聞いてみると、どうやら中国ではフルーツはおやつに分類されるようで、小腹が空いてスナック菓子を食べるような感覚で彼はりんごを食べていたそうです。素晴らしい考えだと思いました。当たり前に車内で果物を食べられることが良いですし、果物=おやつという文化も素敵です。
フルーツ紀行の本題に入ります。
中国では、りんごのことを「苹果」と書き、「ピングォ」と発音します。苹果の年間生産量は5100万トンを超え、また年間消費量は4700万トンを超えており、中国は世界一のりんご大国といえます。
一方、日本に輸入されないためか、多くの日本人が中国のりんごのことを知らないのではないでしょうか。私もその一人です。なのでせっかく中国に来たわけですし、潜入調査してきました。とりあえずマーケットやスーパーに行きまくりました。
まず驚いたのが、4月なのに大量のりんごが並んでいるということです。「富士(ふじ)」や「王琳(王林)」、「黄元帅(ゴールデンデリシャス)」など、オフシーズンなのに関わらず多種多様なりんごが売られていました。露店でも同様で、様々な品種のりんごが売られていました。さすが世界一のりんご大国!
物は試しなので、露店で買ってみました。まず、いくらですかという意味の「多少銭?」を発し、値段を確認します。このときに教えてくれるのは1斤(500g)あたりの値段です。こちらが必要な分を選ぶとお店の人が計量してくれて、値段が決まります。お金を払い、商品を受け取って一件落着。学生時代に第二外国語で中国語を専攻していたのが、まさかこんなところで役に立つとは…。まあ、1、2、3…と言った基本的な数字と、ちょっとした単語しか覚えていないんですがね。りんごに話を戻しましょう。
ブランド化がしっかりしている点にも驚かされました。中国では同じ「富士」でも産地によって品質や特徴が大きく違うため、ブランド化のために名前に地名を付けます。産地名+「富士」=ブランド名という構造です。標高が高く寒暖差がある洛川でとれた「洛川富士」、乾燥した気候である阿克蘇(アクス)でとれた「阿克蘇富士」などがそうです。産地から栽培環境が連想され、たとえば「阿克蘇富士」であれば「阿克蘇は新疆ウイグル自治区にある。乾燥した気候だから、シャキッとした食感と濃い甘さのあるりんごだ!美味しいに違いない!」となるわけです。
「丑苹果」や「老味道苹果」という表記のりんごもありました。地名や品種名を指しているのではなく、見た目や味の特徴を表した名前です。おそらくマーケティング戦略でつけられたのでしょう。
「丑苹果」は、日焼けや黒星病、色づきが悪い「富士」のこと。中国語の丑は、醜いや不格好という意味です。他のりんごに比べて2〜3割ほど安く販売されており、見た目は悪いけど安く買えるというメリットがあります。ストレートな表現でちょっとかわいそうにもなります。
「老味道苹果」は、「国光」のことです。60〜70年代の中国で最も主流だった品種の一つであったことから、懐かしの味、昔ながらの味がするりんごということで、それを意味する老味道が使われているみたいです。見つけたときは、老いた味がする、つまり収穫してから日が経った、腐る一歩手前のりんごのことを指しているんだろうなぁと思っていましたが、ハズレました。私がイメージした老味(=腐る一歩手前)りんごは、処理と書かれた箱に入れられ、500gで1.5元(≒30円)で売られていました。ジャムや料理の隠し味に使うのでしょうか…。
りんご以外で印象に残ったフルーツは、パイナップルです。広東省をはじめとした中国南部はパイナップルの産地で、4月下旬から旬を迎え、国内に流通します。私が旅していたのは4月中旬でしたが、南部から遠い東北や華北エリアでも道端で売られていました。なぜか8分の1カットされたものか、2個セットでしか売っていないし、売ってくれません。もちろん毎回2個セットを買って食べたわけですが、これが超美味。沖縄産や台湾産のように芯まで食べられるタイプの美味しいアレです。品種名が分からなくて、すみません。
鉄道で移動する前にはパイナップルを買い、駅構内または車内で堂々と貪り喰いました。フルーツはおやつ。なんら恥じる必要はありません。他の人もやっているので浮きもしません。中国いいっすわ〜笑
最後に、サンザシ飴(山査子飴)について書いて終わりにします。
サンザシ飴とは、甘酸っぱいサンザシの果実を飴でコーティングした、古くから親しまれる縁起の良いお菓子です。パリパリの食感と爽やかな酸味が特徴で、主に中国の露店やスーパーで販売されています。これがめちゃくちゃ美味しいんですわ。「アルプス乙女」を使ったりんご飴の5倍美味しい(適当)。
サンザシというのは、バラ科サンザシ属の落葉低木で、秋に赤い果実を付ける植物です。漢方では「山査肉(さんざにく)」と呼ばれる生薬として、健胃・消化・止瀉作用(特に肉食の消化不良)に用いられます。また、果実はポリフェノールやビタミンが豊富で、ドライフルーツやドリンクなどの健康食品としても親しまれています。青森県では、六ヶ所村の福岡商店さんがサンザシの生産に着手しています(※)。サンザシはバラ科です。りんごもバラ科。青森のりんご農家のどなたか、園地の脇にサンザシを植えてみませんか。そして、弘前公園のさくら祭りでサンザシ飴を売ってみませんか。ビジネスチャンスなんじゃないかなぁ〜。ってことを考えてしまうほど、美味しいので、どこかで見かけた際は試しに食べてみてください。オススメですよ!
※ 「六ケ所のサンザシ 「食べにおいでよ!」第20回」(https://www.navitabi.jp/article/10366)
次回は、モンゴル&中国の西北エリア編をお送りできると思います。お楽しみに。
1997年8月1日、神奈川県横浜市生まれ。
小学校の教員として働くなかで、地域おこし協力隊という仕事と美味しいリンゴにめぐりあい弘前にI ターン移住。
さまざまな品種を食べたり、副業として生産作業に従事したり、シードルアンバサダーを取得したりしてリンゴの魅力を多面的に味わっています。
「りんご大学」では、溢れんばかりのリンゴへの愛と好奇心を活かしてリンゴの情報を発信中。現在はキャリアブレイクとして世界漫遊の旅に出ているので、リンゴを主とした世界のフルーツ事情も発信しています。
【資格・免許など】
教員免許[小学校、中学校(社会)、高等学校(公民)(地理歴史)]、社会教育士、自然体験活動指導者、国内旅行業務取扱管理者、全国地域リーダ養成塾修了(37期)、世界遺産検定1級
