りんごと食物繊維

りんごをかじった瞬間、シャキッとした歯ごたえと共に、りんごの香り、酸味と甘みの美味しい果汁が口いっぱいに広がります。りんごの美味しい魅力の一つは、この食感!食感を生み出してくれているのは、豊富に含まれている食物繊維です。食物繊維は体内に吸収できない成分のため、かつては「食べ物のカス」と言われていましたが、様々な研究が進み、健康的に生きていくためには、なくてはならない成分として、「第6の栄養素」と言われるようになりました。食物繊維には、様々な健康効果が期待されています。

食物繊維には不溶性と水溶性の2種類あります。不溶性食物繊維は、保水性があり、水を含むと膨らむ性質があります。水分豊富な大腸内で食物繊維が膨れると、便のカサを増して柔らかくなり、大腸の動きが活発になることで、便のスムーズな排出を促します。便秘がちの方にお勧めの成分です。また、便が大腸を通過するときに有害物質を吸着して、一緒に排出する役割もあり、大腸がんの予防効果も期待されています。一方、水溶性食物繊維は、水に溶けるとゲル化(粘性)が生じます。これにより、体内での食物の移動が緩やかになり、血糖が急激に上昇するのを防ぎます。また、コレステロールの上昇を抑える効果も期待されており、生活習慣病の予防効果が期待されています。また、大腸内で善玉菌の餌になって善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きもあります。どちらの食物繊維も、健康維持のために欠かせません。りんごにはどちらも含まれていますが、皮には不溶性食物繊維が豊富なため、皮ごと食べるのがお勧めです。

食物繊維は、不足しやすい成分の一つで、令和元年の国民健康・栄養調査結果によると、男性では65歳未満の成人に、0.4~3.5g不足がみられ、女性では、60歳未満の成人に、1.2~3.4gの不足がみられており、中でも、男女ともに若い年代ほど不足が多くみられています。りんごの可食部100g(約1/2個)に食物繊維が1.4g含まれていますので、1日1個食べることで、不足が補われやすくなります。1個食べることが難しい、という方は、お料理に加えていただくのも良いですね。

不溶性食物繊維が豊富なことで生まれる歯切れ良い食感は、「よく噛んで食べる」ことに繋がるため、咀嚼による健康効果も期待できます。ゆっくりよく噛んで食べることで食べ過ぎを予防し、肥満を予防します。小腹が空いた時のおやつにいただけば、お菓子の食べ過ぎを防ぐ上に、栄養価の高いおやつになります。食べ物の形や固さを感じることができ、味が分かりやすくなり、味覚が発達します。また、口の周りの筋肉を使うことから、あごの発達を助けたり、脳の血流量が増えるため、子供は脳が発達し、大人は物忘れを予防することが出来ます。更に、唾液が沢山出ることで、虫歯や歯周病の予防し、栄養の吸収も良くなります。このように、りんごをよく噛んで食べることは、様々な健康効果が期待されます。

1日1個のりんごで、美味しく、健康的に過ごしましょう。

2022/10/6

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