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農薬に求められること

1930年代に登場して以来農薬は農業生産に高い効果を示してきましたが、毒性や残留性の問題を抱えたものでした。そのため、1960年代からの農薬開発は、人や環境に影響が少なく安全性が高いことが第一の課題とされてきました。その結果、現在の農薬は強力な効果と高い安全性をもった薬剤となっています。今後も農薬開発は進められていきますが、効果と安全性に加え様々な要素が考慮されたものになっていきます。

1、「少量で効果がある」
安全性が高いことに加え、環境への負荷を考え、少量で効果があることが求められています。
2、「選択性がある」
例えば、選択性のない除草剤を使用した場合、雑草だけでなく作物も枯らしてしまう可能性があります。よって、標的には効力を発揮し、標的以外には全く、あるいはほとんど影響のないことが求められています。
3、「残効性・残留性が適当である」
散布された農薬は日光や風雨、植物の体内で分解されていきますが、分解が早過ぎると効果の持続時間が短くなり、何度も散布しなければならなくなります。逆に、分解が遅い場合、効果は安定しますが、残留性が問題になります。かつてのDDT(※1)やBHC(※2)がそうでした。このため、効果が適当な期間持続し、その後は速やかに分解され残留の少ないことが求められています。
4、「薬剤抵抗性がつきにくい」
同じ農薬を長い間使い続けていると、対象の害虫や病気に効きにくくなることがあります。何種類かの薬剤を交替で使うなどされていますが、開発の段階から、抵抗性のつきにくい成分が添加された薬剤が求められています。
5、「使いやすく、安い」
農業人口の減少や高齢化は進む一方であるため、軽くてかさばらない、特別な機器や散布方法の必要ない薬剤が求められています。
日本経済の低迷や低価格の外国産農産物により、日本の農業は生産コストを下げざるをえません。このため、農薬も安価であることが求められています。

※1 DDT(ディーディーティー): 有機塩素系の殺虫剤の1つ。非常に安価に大量生産できる上に少量で効果があり、人間や家畜に無害であるように見えたため世界中で広く使用されていました。しかし、生態系への悪影響や残留性が問題視されたため、日本国内では製造・使用が禁止されています。

※2 BHC(ビーエイチシー):有機塩素系の殺虫剤の1つ。殺虫効果が高いため、農薬として広く使用されましたが、人に対する毒性が強く、残留問題もあったため、現在は日本を含め多くの国で使用が禁止されています。