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森の宝石 "紅玉"

 

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 情熱の赤い宝石"ルビー"の和名と同じ名を持つ「紅玉」。炎を閉じ込めてしまったかの如く艶やかな深紅、そしてその中に秘められた鮮烈な味わいに、日本や原産地のアメリカのみならず世界中の人々が魅了され続けています。

 

130928kougyoku3.jpg 「紅玉」は英語名は「ジョナサン」といい、1871年に北海道開拓使次官黒田清隆が、アメリカから75品種のりんごの苗木を導入した中の一つです。「ジョナサン」は各地に広まると様々な名前で呼ばれ、青森県でも津軽地方で「千成(せんなり)」南部地方では「満紅(まんこう)」の名で親しまれてきましたが、1900年に「紅玉」に統一されました。

 青森県において「紅玉」は、明治時代「国光(こっこう」「柳玉(りゅうぎょく)」「祝(いわい)」「倭錦(やまとにしき)」「紅魁(べにさきがけ)」「紅絞(べにしぼり)」とともに、県のりんご七大品種の一つとして県内各地に栽植されていました。その後、「紅玉」・「国光」の二大品種の時代に移り、戦前には美味しいりんごの代名詞としてその名を馳せた「紅玉」は、以後基幹品種として100年間にわたり日本のりんご産業を支えてきたのです。

  

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 しかし、戦後に入ると時代の流れには逆らえず、1963年にはバナナの輸入自由化と国内りんごの豊作によって、「紅玉」を中心に価格が暴落。また1968年にも、みかんの大豊作と価格の下落に連動するように、「紅玉」「国光」が暴落を続けました。さらに、消費者に酸味が少なく甘さが強いりんごが好まれるようになるに伴い、デリシャス系や「ふじ」の品種改良がすすめられていきました。酸味の強い「紅玉」の生産量はだんだんと減少、一時はなかなか手に入らないほどに姿をひそめてしまうのでした。 

 

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 ところが、近年のスイーツブームに乗り「紅玉」の人気が再び高まってきています。紅玉の果肉は緻密できめが細かく、加熱しても煮崩れしにくいため調理・加工用にうってつけなのです。他の品種よりも強めの酸味は、砂糖と煮ることで非常に上品な味わいへと変貌します。さらに素晴らしいのは加熱した際の香り。くっきり鮮やかに彩られた甘酸っぱい芳香は、他の追随を許しません。もちろん、現在も生食を好む根強いファンが多数。「紅玉」は常に独特の酸味が取り上げられますが、実は完熟果は多品種よりも糖度が高く、その濃厚さは病みつきになります。

 10月になると収穫を迎える、これからが旬のりんご「紅玉」。かわいらしい真っ赤な実にぎゅっとつまった強い個性は、今も昔も多くの人々に愛され続ける自信と誇りの表れなのかもしれません。どこか懐かしくそれでいて色褪せることのない独特の風味・・・、今しか出会えないこの感動をどうぞご堪能下さい。

 

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