HOME - 学ぶ - 蜜入り・ツル割れりんご~蜜入りりんごやツル割れりんごについてご紹介~
蜜入りりんご
りんごを2つに切ると、芯の周辺が黄色く透き通った状態になっていることがあります。
それは、ハチミツのような色合いから“ 蜜 (みつ)”と呼ばれているのです。
●蜜の正体は?

蜜は、樹の上で完熟する過程で自然に発生したもので「ソルビトール」などの糖分です。
「ソルビトール」は、りんごの葉が光合成によって作られたでんぷんを変換したもので、葉から果実に運ばれます。
蜜の正体であるソルビトールはさほど甘くなく、砂糖の甘さを100とすると、ソルビトールは60くらいになります。
●なぜ「蜜入りりんごは甘い」と感じるのでしょうか?
それは蜜が『完熟の証』と言われるように、りんごの果実が糖分で満たされている状態の目印だからです。
さらに、糖分の中でも多く含まれている果糖が、砂糖の甘さの1.15~1.73倍と最も甘い糖なのです。
●蜜入りりんごの見分け方
- 同じ大きさのものでも重い方のりんご
- ツルが太くてしっかりしているりんご
- りんごのお尻のほうが少し透き通ったような黄色みをおびているりんご
特にお尻の部分が黄色や赤くなっている果実は、完熟した印なので蜜が入っている可能性が高くなります。
●蜜が入りやすい品種
「ふじ」や「スターキング」、「デリシャス」などには蜜が入りやすいけれど、「ゴールデンデリシャス」や「つがる」では完熟しても蜜が入りにくいことが知られています。
●蜜ができる過程
光合成によって葉っぱで作られ、果実に運ばれた「ソルビトール」は、 果糖やショ糖、ブドウ糖などの糖に変換されて、果実の細胞に蓄えられます。
ところが完熟期になると、すでに細胞内が糖でいっぱいになっているため、ソルビトールたちは細胞の中に入れず困ってしまうのですが、ソルビトールは細胞と細胞のすきまにたまるようになり、水分を引き寄せます。
これが、“蜜”になるのです。
蜜は「このりんごには糖が余って蜜になるくらい甘さ満ち満ちですよ」という目印なのです。
●蜜の量は貯蔵中には少しずつ減少する

樹の上で完熟して、せっかくできた蜜だけど残念なことに、貯蔵中には少しずつ減っていきます。
その原因は蜜が水分を発散させながら徐々に果肉に吸収されてしまうからです。蜜が減ると甘みは変わらないけど、シャキシャキ感やジューシーさが 少なくなってしまいます。
●葉取らずりんご
最近よく聞く「葉とらずりんご」。
葉っぱが多いので、作られる「ソルビトール」も多く、甘くておいしいりんごができるという栽培方法のひとつです。
さらに袋をかけないで作る「無袋栽培」を一緒に行うことで、もっと甘くなるそうです。