HOME - 学ぶ - りんご栽培(知識)~りんご栽培に適した気候や樹形の種類をご紹介~

おいしくて品質の良いりんごに必要なのはこんな気候

●冷涼な地域

年平均気温が6~14℃の地域で、世界中で栽培されています。

日本の主産地(青森、長野など)は10℃前後の地域です。
このような冷涼な地域での栽培に適しているのは、以下のような理由があります。

  • 収穫を終え落葉したりんごの木は、12月~翌年3月まで休眠期間に入りますが、休眠から目覚めるには一定期間低温にさらされる必要があります。
  • りんごが良く色づくには、秋ぐち(9月下旬~10月上旬頃)からの低温が必要であり、りんごを貯蔵するにも冷涼な方が適しています。

●年降水量が少なめの地域

年降水量が少なめの地域が適しています。理由は以下の通りです。

  • 冷涼な気候であることと合わせて、病害の発生が少なくなります。
  • 雨が多いと、ツル割れの発生が多くなります。
  • 雨が多いと、肥料の養分が流れてしまいます。

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●昼夜に温度差が大きい地域

昼夜の温度差が大きい地域が適しています。 理由は以下の通りです。

  • 昼夜の温度差があると、昼は成長し、夜は寒さから身を守るという過程を繰り返しながら成長します。すると、実の引き締まった、糖度の高いりんごになります。

りんごの樹 ~栽培方法~

このページではリンゴの栽培方法について説明します。栽培方法とは簡単に言うと『どうやってリンゴをつくるか』ということです。それぞれ基本的な作業は変わらずとも、樹を植える間隔や樹の大きさをどうするか等で栽培方法は異なります。

仮にあなたが100m四方のまっさらな畑を持った農家としましょう。この畑から出来るだけたくさんのリンゴをとることを目標に、あなたはリンゴ栽培を一からスタートしようと考えています。あなたはどのような間隔でリンゴの苗木を植えて、どのように育てますか?

挿絵

樹の間隔を広くして樹を大きく栽培するでしょうか。それとも出来るだけ間隔を狭くしコンパクトな樹を数多く育て、スペースに無駄のない栽培をするでしょうか。悩みどころですし、どうすれば良いか検討もつかない方が多いと思います。

実際リンゴ農家さんはさらに多くの物事を考えて栽培方法を決めています。栽培方法は目標(多くの農家さんは出来るだけたくさん、品質の良いりんごをとる=高収益を目標にしていると思います)に合わせて決める他に、畑の条件や地域の環境に適した方法であるかも考えるべきなのです。

  1. 【メニュー】
  2.  …苗木、台木について
  3.  …大きくて丈夫な樹で安定性を目指す
  4.  …コンパクトな樹で多収、効率化を目指す
  5.  …超コンパクトな樹で収益性、効率化を追求する
苗木画像
丸葉栽培画像
わい化栽培画像
高密植栽培画像

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りんごの樹 ~苗木、台木~

現在苗木生産の技術は発達し、様々な方法で良質な苗木が生産されていますが、苗木はおおまかに『台木』(根っこの部分)と『穂木』(リンゴの品種部分で地上部にあたる)で構成されます。例えば『ふじ』を栽培する場合、何らかの台木に『ふじ』の穂木がついた苗木を育てる必要があります。「この品種(穂木の部分)はこの栽培方法に向いている、又は向いていない」という話もあり、台木や穂木の特性や組み合わせによって樹の生育は異なりますが、台木の特性の方が生育に大きく反映されます。

台木の種類は非常に多く、樹が大型化するものからコンパクトに生育するもの(わい性台木)があります。また、それぞれ自然環境への適応力等にも違いがあります。

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苗木画像

苗木育苗の様子

苗木画像

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普通(丸葉)栽培 ~大きくて丈夫な樹を育て、安定性を目指す~

世界のリンゴ栽培の歴史の中で古くからあり青森県では現在も主流。台木の種類はマルバカイドウがほとんどです。マルバカイドウの特性上、発根性に優れ生育旺盛、樹体は大型になります。そのため隣り合う樹とは広い間隔が必要になります。

面積10aあたり15~30本植えといわれていますが、その限りではありません。

丸葉栽培図

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間伐図
丸葉栽培画像
  • 【メリット】
  • 樹が育てば頑丈、ある程度の自然災害(強風、干ばつ、大雨)にも耐える。
  • 樹が大きくなる分、面積当たりに植える苗木本数が少ない=コスト低
  • 環境適応力が高いので、比較的栽培しやすい。
  • 経済寿命が数十年と長く、長期間安定した収穫量を見込める
  • 【デメリット】
  • 高度な整枝剪定技術を要する。高品質リンゴ生産と作業しやすい樹形づくりに技術が必要。
  • 樹が大きくなると樹冠内部の着色管理や管理作業が困難。
  • 成園化し安定した収穫量を上げるまで時間が掛かる(10年程度)
  • 樹が大型になり、定植間隔が狭いと間伐が必要な場合もある。

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わい化栽培 ~コンパクトな樹で多収、効率化を目指す~

台木はわい性台木を使用した、コンパクトな樹形で多くの本数を植える栽培様式です。日本国内では気候に合うよう、わい性中間台を使用した苗木が普及しています。面積10aあたり100~125本植え(樹間2m、列間4m)が基本的ですが、樹形の仕立て方等でさらに細かく分類されます。

欧米のリンゴ生産諸国が面積当たりの収量増加、作業効率向上を目標に広く普及を進めました。実際に成果は現れましたが、日本国内では海外に比べ大幅に普及が遅れ、さらに県により普及率が異なる現状です。海外と国内の自然環境や苗木生産体制の違いが原因と考えられます。また、わい化栽培で成果を上げる一方で課題点も確認されています。

わい化栽培図

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わい化栽培画像
  • 【メリット】
  • 面積当たりの収穫量は疎植栽培以上。
  • 収穫始めが早く、成園化し安定収量を上げるまでの時間が普通(丸葉)栽培より短縮される。
  • 作業効率が向上、樹冠内に光が入り易く着色管理もしやすい。
  • 【デメリット】
  • 面積当りに植える苗木本数が多い=コスト高
  • 樹を支えるための支柱が必要。
  • 自然災害による被害を受けやすい。
  • 定植20年以降の管理が難しく、高度な剪定技術を要する。(樹の大型化や樹形管理困難による間伐、果実品質の低下等、経済寿命20~25年程度)
  • ネズミによる苗木、若木の食害にあいやすい。

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高密植栽培 ~超コンパクトな樹で収益性、効率化を追求する~

現在、世界的に主流となる栽培方法で日本国内にも広まってきました。高度な剪定技術を必要とせず、わい化栽培以上の早期多収、均質生産、作業効率向上を目標とした栽培方法です。面積10aあたり300本以上の定植本数で樹間1m以内、列間3~3.5mが推奨されています。わい性台木の中でもM9系統台木の自根を使用したM9自根フェザー苗での栽培が主流です。世界水準の栽培方法と言えますが、日本国内では栽培管理作業の標準化を目指し、長野県が栽培研究、普及を推進しています。

近年では高密植栽培の多様化が進み、V字トレリスでの高密植栽培が主流となる国もあります。各地域によって栽培方法には特徴があり、より良い方法を目指して日々研究が進んでいます。

高密植栽培図

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高密植栽培画像
  • 【メリット】
  • わい化栽培以上の早期多収、成園化、品質の揃った生産が可能。
  • 下垂誘引主体の整枝管理から高度な剪定技術を必要としない。
  • 作業のマニュアル化が可能とされ、未経験者でも取り組みやすい。
  • 作業効率が大幅に向上し、農薬散布量の削減も可能とされる。
  • 着色管理が容易で作業労力、時間も大幅に軽減。
  • 一旦生産体制が構築されると持続的な高い収益性を見込める。
  • 【デメリット】
  • 多くの苗木とトレリス、主幹固定資材、かん水設備等、多額の初期経費がかかる。
  • M9 自根フェザー苗の安定生産体制ができていない。
  • 2018年現在、高密植栽培向けの行政による補助制度が確立されていない。
  • 高密植栽培に向けた圃場選択、整備が必要。
  • 慣行栽培と異なる観点が多く、従来の栽培からの意識改革が必要。
  • 経済寿命が明らかでない(推定15年程度のショートサイクル)。
  • ネズミによる食害、モンパ病凍害対策が必須。
  • 自然環境による影響(干ばつ、大雨)を受けやすい。

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