りんご栽培(作業)~実際のりんご栽培の作業についてご紹介~
❶剪定(1~3月)
青森のりんご生産の中で、「剪定」技術は特に世界のそれと大きく異なっています。剪定はりんごを栽培する上で最も重要な技術で、「剪定でりんご作りの7割が決まる」と言う位重要な過程です。りんごの樹は人間と同様に個性が有り、それを見抜き生かしながら将来どのような樹形に仕立てるかを見据えて、樹の内側まで日光が届くように一本一本丁寧に枝を切り落として時間をかけて枝の配置を整えます。「一人前になるには千本の樹を切らなければならない」と言われ、諸外国とは全く異なる剪定の技術が実践されています。名勝地弘前公園の桜は一つの枝に咲く花の数が一般的な桜よりも多くボリュームがあり日本一美しい桜と讃えられますが、それは同じバラ科であるりんごの剪定技術が応用されているからです。
❷摘花・授粉(5月)
「摘花」は、つぼみや花の時期に「中心花」と呼ばれる真ん中の大きな花のみを残して周りの花を摘み取る作業で、早い時期に摘み取るほど樹の貯蔵養分の消耗が少なく、りんごの品質向上につながります。「授粉」は人の手で1つ1つの花に花粉をつけて確実に結実させる作業です。現在はマメコバチによる受粉が主ですが、従来の人工授粉も健在で、安定した収量を確保するのに欠かせません。
❸摘果(6~7月)
りんごは1つの株から5~6つの花が咲いて幼果ができますが、それぞれが樹の貯蔵養分を取り合うため全ての幼果が大きくなることはできません。そこで、真ん中の大きな「中心果」を残して周りの幼果を摘み取る「一つ成り摘果」の作業を行います。さらに一つ成り摘果後も、3~5頂芽にりんご1個の割合でつるが太くて長く果形が良好な果実を選んで残し他の果実を取り除いてしまうのが「仕上げ摘果」で、最終的に仕上げ摘果で選ばれたりんごだけが大きく育てられていきます。
❹袋かけ(6~7月)
「袋かけ」は、病気や害虫からりんごを守り着色や貯蔵性をよくするために摘果後のりんごに一つずつ袋をかける作業で、これを「有袋栽培」といいます。有袋栽培されている品種は、「ふじ」や「ジョナゴールド」「むつ」「金星」などがあります。
❺除袋(袋はぎ)(9~10月)
「除袋」はりんごにかけた袋をはがす作業で、果実に光を当て綺麗に着色させます。除袋は作業のタイミングが重要で、気温や日射量によっては果実が焼けて商品の価値が無くなってしまう場合もあり、特に神経を使う作業で経験が必要です。
❻支柱入れ(9~10月)
「支柱入れ」は、りんごが大きくなり枝が重さに耐えられなくなって折れてしまわないように、支柱を入れて枝を支える作業です。青森県内でりんご生産量が一番多い弘前市は北緯40度36分に位置しており、夏と秋では太陽光が降り注ぐ角度が変わります。このため太陽光の角度変化に合わせるように、支柱で支える枝を絶妙に動かして日光の当たり具合を調整しています。
❼葉摘み(8~10月)
「葉摘み」は、りんごの実全体に日光を当てて色がムラなくきれいにつくようにするために、光を遮る葉を摘み取る作業です。りんごの色づきや糖度にも影響があり、葉を取りすぎると光合成が少なくなり栄養分が果実に行きわたらなくなるので、葉摘みの程度を加減することが大切です。一般に、1個のりんごを育てるためには50~60枚の葉の養分が必要だと言われています。
❽反射シート敷き(8~10月)
「反射シート敷き」は、日光を反射させるシートを地面に敷いてりんごの下面にも光を当て、りんご全体に色をムラなくつけるようにする作業です。また、反射シートを敷くと地面の温度が下がるため、いよいよ秋が訪れ収穫が近づいている事をりんごの樹に教え、着色を促進する効果もあります。
❾玉まわし(9~11月)
りんご栽培で最後の総仕上げの作業になるのが「玉まわし」です。りんごは日光が当たった部分だけ赤くなるので、果実を優しくまわして枝や葉に触れて影になっている面にも日光を当て、果実全体に色がつくようにします。これまで成長させてきたりんごを最高の状態に仕上げるためのこの丁寧な作業が、高品質な「青森りんご」を作り上げているのです。
❿収穫(9~11月)
全てのりんごを一度に収穫してしまえば労力も時間も省約できます。しかし「つがる」や「きおう」など、品種によっては同じ木の中でもどうしても色つきや熟期が揃わないものがあります。その場合には、色つきが良く食べ頃なりんごだけを数回に分けて収穫します。これは「すぐりもぎ」と言われ、より美味しいりんごを消費者に届けたいという思いが込められています。また主力品種「ふじ」は、11月の寒さが厳しく指先が凍える中で収穫されますが、この寒さが完熟の証であるりんごの「蜜入り」にもつながっているのです。
※りんご大学「青森りんご」の高品質の秘密ページより引用しました。