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第2回 世界のリンゴ品種

 米国ワシントン州にあるベルローズ社で発行している月刊誌 The World Apple Report 2017年5月号には、中国を除く世界のリンゴ生産量に占める43品種のシェアが掲載されている。

 なお、この月刊誌は2017年7月号をもって廃刊になった。

○中国を除く2015年におけるリンゴ生産量に占める主要品種のシェア

 トップはレッドデリシャスの18.35%、2位はゴールデンデリシャスの14.55%、3位はガラ/ロイヤルガラの14.00%、4位はふじの6.88%、5位はグラニースミスの5.38%である。

 日本で栽培されている品種では、ジョナゴールドが7位で2.76%、紅玉が14位で0.96%、王林が18位で0.49%、つがるが21位で0.41%、陸奥が38位0.12%、北斗が39位で0.10%、千秋が40位で0.08%である。

 中国を除外するのは、中国のリンゴ生産量が莫大で、しかもふじという単一品種に特化しているので中国を入れると世界的にみた品種のシェアをゆがめるからである。

 中国を除く世界のレッドデリシャス、ゴールデンデリシャスの生産量は、2025年にそれぞれ500万トンをこえるであろうが、ふじは240万トンに満たないであろう。

 しかし、中国を入れるとふじの生産量は実に3540万トンにもなると予測される。

○中国を除く世界のリンゴ生産量に占めるグループ別品種のシェア(表1)

 2015年における伝統的主要品種のシェアは38.28%であるが、2010年に比べると5.38%減少している。2025年には0.81%減少し37.47%になると予測されている。

 一方、ガラやふじのような1980年代に導入された主要新品種のシェアは2010年から2015年にかけて1.42%、2015年から2025年までの10年間に2.09%上昇すると予測されている。この中のピンクレディはクラブ制品種である。

 2000年以降に導入されたハニークリスプやジャズなどの最新品種のシェアは2010年1.19%、2015年2.50%と伸びている。2020年には3.33%、2025年には4.02%になると予測されているが、6%を超えるかもしれない。

 ハニークリスプ以外の品種は全てクラブ制品種である。

 その他品種のシェアは2015年で27.30%、2015年で27.30%、2025年予測では24.50%である。

 結論的に言うと、世界のリンゴ産業が2025年になっても販売されるリンゴの品種は依然として小売業者や消費者にとってなじみの深い品種が優先されるであろう。

(表1)中国を除く世界のリンゴ生産量と占めるグループ別品種のシェア

グループ 品種 シェア(%)
2010年 2015年 予測
2020年 2025年
伝統的な主要品種 レッドデリシャス、ゴールデンデリシャス、グラニースミス 43.66% 38.28% 38.60% 37.47%
1980年代に導入された主要新品種 ガラ/ロイヤルガラ、ふじ、ブレイバーン、ジョナゴールド、ジョナゴレッド、エルスター、クリスプピンク/ピンクレディ 30.50% 31.92% 32.58% 34.01%
2000年以降に導入された最新品種 ハニークリスプ、ジャズ、ピノーバ、レッドジョナプリンス、パシフィックローズ、アンプロシア、カンジ 1.19% 2.50% 3.33% 4.02%
その他品種 24.65% 27.30% 25.49% 24.50%
100.00% 100.00% 100.00% 100.00%

(表2)日本のリンゴ収穫量に占める品種別シェア

収穫量(t) 品種別シェア(%)
ふじ つがる ジョナゴールド 王林 その他
2005年度 818,900t 55.3% 12.3% 9.0% 9.0% 14.4%
2010年度 786,500t 56.0% 10.7% 7.7% 8.8% 16.8%
2015年度 815,500t 53.1% 11.1% 6.9% 7.6% 21.3%

※参考:表2は農林水産統計からみた、日本のリンゴ収穫量に占める年産別品種シェアである。

 2015年産ふじは5年前に比べてシェアを下げ、53.1%である。つがるのシェアは11~12%で維持している。ジョナゴールド及び王林のシェアは減少傾向にある。その他品種のシェアは、2005年の14.4%から2015年には21.3%と大幅に上昇している。

 1982年の日本における生産量に占める品種別シェアをみると、北米から導入した品種(祝・旭・紅玉・国光・ゴールデンデリシャス・レッドデリシャス)が43.2%を占めていた。

 現在では外国から導入した品種を育種母木としているが、日本のオリジナル品種ともいうべき品種が93%を占めている。

「ふじ」の畑

「最近のリンゴは、いつ食べてもおいしいですね」と言われることが多く、うれしい思いをする。これはCA貯蔵など鮮度保持技術の進歩に負うところも大きいが、なんといっても味の良い品種を日本のリンゴ育種家が開発したからである。

 しかし、晩成種である「ふじ」に片寄り過ぎ、リンゴを楽しんで食べる時期が限られるのではないかと心配される。早く、「ふじ」より貯蔵性のある赤色晩成品種の出ることを期待している。

(2017/12/25)

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プロフィール

一木 茂

元青森県りんご試験場長。現在はりんごについて広めるべく、筆を執る。

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