りんごは買うもの貰うもの?
私は横浜市出身のIターン者です。
りんごを食べたいと思ったら、近くのスーパーに行って買う、ネットで買う、長野県や群馬県の直売所に行って買うしかありません。「買う」ことでしかりんごを入手できないのです。それが当たり前です。
しかし、弘前に移住してきて、その当たり前が崩壊しました。
8月のある日、自分の不注意で右下腿を怪我しました。
出血した右下腿を、消毒、止血、アイシング処置したものの、痛みが引かず整形外科へ。数年ぶりの整形外科でした。不注意による怪我なだけに、落ち込みました。
「りんごでも食べて気を取り直すか!」ということで、家の近くの農産物直売所へ。
恋空という品種を手にし、レジに向かっているとき、偶然居合わせた近所のりんご農家のN.Mさんが
「りんごを買おうとしているのか。ダメダメ。ついてこい!」
と声をかけてきました。
手に持っていた恋空を商品棚に戻し、言われるがまま着いていくと、N.Mさんの園地に到着。
恋空をもがせてもらいました。
もいだ恋空は全部いただきました。
さまざまな大きさ、さまざまな熟れ具合で、
同一品種でも味の違いを感じられる楽しみができました。
一般に、真っ赤に熟れた恋空は、流通していません。
なぜなら、収穫してから日が経つと、甘味は出るが食感がモサモサしてしまうからです。
収穫してからすぐ食べられる環境にいることによって、貴重な熟れた恋空を食べることができました。
生産地に住む特権ですね。
気づくと、傷む右下腿のことは忘れていました。
その翌日、近所のS.Kさんが
「おめ、リンゴ好きって言っていたよな。たくさんとれたからあげる。」
と言って、大量の恋空をくれました。
同日、同僚のN.Sさんが
「家でとれたからあげる」
と言って、メルシーをくれました。
人に恵まれた結果、たくさんのりんごをいただけています。
横浜では「買う」ことでしか食べられなかったりんごを、弘前では「貰う」ことで食べることができています。
嬉しいカルチャーショックです。
【穗坂修基(ほさかもとき)】
弘前市相馬地区の地域おこし協力隊。
生まれも育ちも横浜市。Iターン者。
「りんご大学だより」は、りんごの魅力やりんごの最新情報などを週1回お届けするメールマガジンです。ご登録は無料です。あなたもりんごのある美味しい生活をはじめてみませんか? ⇒ 配信ご希望の方は、こちらへ